日立造船が提案した「カンボジアでの高濁度向けパッケージ型高速ろ過システムの普及」がJICAの「中小企業・SDGsビジネス支援事業」に採択され、安全で安心な生活用水提供に向けた実証事業を開始する。
安全な水へのアクセスを目指して
日立造船株式会社は、独立行政法人国際協力機構(JICA)が進める「中小企業・SDGsビジネス支援事業」において、カンボジアでの「高濁度向けパッケージ型高速ろ過システムの普及」に関するビジネス化実証事業を実施することが決定した。このプロジェクトは、開発途上国の持続可能な発展とSDGs達成に貢献することを目指している。
カンボジアの地方都市や農村部では、安全な生活用水へのアクセスが限られており、雨季と乾季の濁度変動が大きい河川水を利用している現状がある。このプロジェクトでは、日立造船が開発した独自の繊維ろ過材を用いたパッケージ型高速ろ過浄水システムを用いて、これらの課題を解決し、農村部や遠隔地でも安価で安全・安心な清浄水の利用を可能にすることを目指す。
実証事業では、カンボジア国内での高濁度水処理に適した浄水システムの性能確認と、現地水道事業者による運転評価を行う。これにより、現地に適合する浄水システムの販売戦略とビジネスプランの策定を目指す。さらに、分散配置が可能な省スペースなパッケージ型であるため、地方都市や農村部の集落に容易に導入でき、生活レベルの向上や生産活動の促進が期待される。
日立造船は、本実証事業を通じてカンボジアでの生活用水問題の解決に貢献するとともに、地域経済の発展や観光業の振興にも寄与することを目指す。また、今回のプロジェクトを足掛かりに、他の開発途上国への技術展開も視野に入れている。JICAとの協力のもと、日立造船は環境課題への取り組みを強化し、グローバルなSDGs達成に向けた活動を加速させていく予定である。