食品ロス削減と地球環境保護の課題に取り組む、NTTビジネスソリューションズによる地域食品資源循環ソリューション。食品残渣を再資源化し、地域内での循環を実現するこのシステムが、食を巡る循環再生のモデルになるか。
地域食品資源循環ソリューションへの期待
現代社会で増加する食品ロス問題に対処しようと、NTTビジネスソリューションズは「フォースターズ」装置を用いた地域食品資源循環ソリューションを推進。食品製造業者や青果市場から排出される食品残渣を微生物で発酵分解し、一次発酵物から良質な堆肥を生産、地域の農家へ提供している。
このソリューションは経済的にも環境的にも大きなメリットをもたらす。例えば、年間1200tの生ごみを排出する卸売市場の焼却コストを大幅に削減。処理コストが従来の半額以下になる事例もある。捨てればごみ、活かせば資源という発想の転換が、事業者に新たな価値を提供する。
再生された堆肥の提供は、地域農家との強固な連携を生み出す。契約農家は安定した品質の堆肥を安価で入手でき、輸送コストの削減や土壌の改良を実現。これにより、地域で消費される野菜や果物の生産に貢献し、地域内で完結する資源循環が促進される。
またNTTビジネスソリューションズの全国網が、この地域循環ソリューションを可能にする。リサイクルセンターを全国に展開し、地域ごとにコンパクトに循環させることで、輸送による環境負荷やコストを最小限に抑える。
「ステーキのあさくま」や「マルハ物産」など、すでに導入事例からは、食品残渣の有効活用が可能であること、そしてそれが経済的にも環境的にも有益であることが証明されている。地域の農家からの肯定的なフィードバックも、この取り組みが持続可能な社会に対して実現可能な解決策であることを示している。
NTTビジネスソリューションズによる地域食品資源循環ソリューションは、食品ロス問題と地球温暖化対策の双方に貢献する一例だ。食品残渣を資源として再利用し、地域内で循環させるこのアプローチは、社会的価値の向上だけでなく、地域コミュニティの絆を強化する。全国展開を背景に、地域ごとに異なるニーズに応えながら、環境負荷の低減と資源の有効活用を推進するこの取り組みは、持続可能な地域社会の構築に向けた重要な一歩となり、未来の食品産業および農業のあり方に影響を与える可能性がある。地域食品資源循環ソリューションは廃棄物問題の解決だけでなく、地域経済の活性化にも寄与する画期的なモデルだ。
今後、生活者が暮らす住宅からの食品残渣を、このシステムに組み込むことも不可能ではないはずだ。たとえばマンションなどの多世帯が暮らす集合住宅ならば、一度にまとまった量の食品残渣を提供することができる。マンションをマネジメントする管理組合や管理会社は、この地域食品資源循環ソリューションとジョイントしたマンション食生活の廃棄物管理を検討してみても面白いだろう。