山梨県北杜市において、グリーン水素を用いた脱炭素化の実現を目指すプロジェクトが本格始動。最新技術を駆使し、再生可能エネルギーを活用したP2Gシステム(Power to Gas)を構築するための実証施設の建設が開始された。
世界トップクラスの水素利用エリアが山梨県白州の地に生まれる
山梨県と国内有力企業が連携し、再生可能エネルギーを活用したグリーン水素の製造・利用に向けたプロジェクト「やまなしモデルP2Gシステム」の実証施設が、北杜市にて本格的に建設がスタートした。地域に根ざした脱炭素化への取り組みが、世界的な視点からも注目を集めている。
山梨県は、電力や製造業界のリーディングカンパニー10社と共に、再生可能エネルギーを基にした水素製造技術の開発を進めている。この技術の中心となるP2Gシステムは、水を電気分解して得られる「グリーン水素」を利用し、企業の水素ボイラー等に供給することを目指している。この実証施設は、国内最大規模となる16メガワットの水電解システムを導入する計画で、2025年の稼働を目指している。
このシステムは、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のグリーンイノベーション基金事業による助成を受けており、各企業が持つ技術力を結集したプロジェクトだ。特にサントリー白州工場をはじめとする地元企業でグリーン水素の利用が計画されており、地域経済への波及効果も期待されている。
2月20日、北杜市白州町において「やまなしモデルP2Gシステム」の起工式が執り行われた。式典には、山梨県の長崎幸太郎知事やプロジェクトに参加する企業の代表者、地元経済界の関係者ら約60人が出席した。
長崎知事は、世界的な脱炭素化の潮流が加速する中、グリーン水素がその実現に向けたキーテクノロジーとして期待されていることを強調。「世界トップクラスの水素利用エリアが、山梨県白州の地に生まれることに感謝し、このシステムが多くの地域で活用されることを期待する」と語った。
今回の実証施設で生成されるグリーン水素は、サントリー白州工場で利用が予定されているが、今後は周辺地域にも供給を拡大し、水素社会の実現を目指す。また、国内外の他地域への展開も視野に入れており、山梨県発の技術が広く活用されることが期待される。
このプロジェクトでは、地域社会と企業の連携を通じて、持続可能なエネルギー社会の実現に向けた取り組みを進めていく。特に、グリーン水素はCO2排出がないことから、環境に優しいクリーンエネルギーとして今後の普及が大いに期待されている。
今回の取り組みが成功すれば、山梨県は脱炭素社会のモデルケースとして、国内外からの注目を集めるだろう。また、地域経済の活性化にも繋がり、持続可能な社会の実現に向けた一歩となることが期待されている。