愛知県は、環境分野で革新技術を生み出すスタートアップを支援する「愛知環境イノベーションプロジェクト」において、8件のプロジェクトを採択した。これにより、エネルギーやカーボンリサイクル、サーキュラーエコノミーなど、次世代の環境技術の実現を目指す取り組みが加速する。今後、県内企業との連携や専門家の助言などを通じて、採択された企業の技術実装が進められる。

愛知発の環境技術を実装した、持続可能な社会の構築へ

愛知県は、2024年5月13日から7月12日までの約2か月間、全国のスタートアップや企業から環境イノベーションに関する技術やアイデアを公募した。今回の公募は、愛知発の環境技術を実装し、持続可能な社会を構築することを目的としており、全国から95者、96件の応募があった。
応募テーマは6つに分けられ、エネルギーの創出や温室効果ガスの吸収・利用など、多岐にわたる環境課題に対する解決策を募った。審査は、名古屋大学や中部TLOビジネスコンサルタントなど、学識者や専門家からなる委員会により行われ、革新性や共創性が高く評価された8件のプロジェクトが採択された。
採択された8件のプロジェクトは、以下の5つのテーマに分類されている。
■エネルギーの創出・利用モデル
1.株式会社Eサーモジェンテック(京都府)
工場などで発生する低温排熱を利用した「熱電発電」技術を開発した。タービンを使用せずに排熱を直接電気に変換するこの技術は、工場のエネルギー効率を向上させる。
2.株式会社豊橋バイオマスソリューションズ(愛知県)
従来の技術に比べて2倍以上の効率を誇るメタン発酵技術を活用した次世代型バイオガス発電システムを提案している。食品工場などでの導入が見込まれる。
■カーボンリサイクルモデル
3.東洋建設株式会社(東京都)
海面最終処分場の保有水に工場排ガスや大気中のCO2を固定化するスキームを構築。この技術により、温室効果ガスの削減と廃棄物管理の向上が期待される。
■県民と共に進める持続可能な社会の実現モデル
4.株式会社スタジオスポビー(東京都)
県民の脱炭素行動を可視化するアプリを開発した。公共交通機関の利用などによるCO2削減量を表示し、県民や企業従業員の環境行動を促進することを目指している。
■サーキュラーエコノミー型ビジネスモデル
5.株式会社fff fortississimo(愛知県)
使用済みの炭素繊維強化プラスチック(CFRP)から取り出した炭素繊維をリサイクルする技術を提案。これにより、CFRPの再利用を可能にし、リサイクルチェーンの確立を図る。
6.株式会社Space wasp(岐阜県)
野菜や果物の廃棄物を100%利用して内装材を製造する技術を提案。この技術は、植物廃棄物の有効利用を進め、サステナブルな建材の提供を目指す。
7.サハシ特殊鋼株式会社(愛知県)
使用済みの紙おむつをリサイクルする技術を開発。摩擦熱を利用した粉砕乾燥技術と消臭技術を組み合わせ、紙おむつのリサイクルを実現する。
■自然が持つ価値の見える化モデル
8.DeepForest Technologies株式会社(京都府)
ドローンとAIを組み合わせた森林モニタリングシステムを開発。ドローンで撮影したデータをAIで解析し、森林のCO2吸収量を把握することが可能となる。

愛知県は、採択されたプロジェクトに対して、県内企業とのマッチングや実証フィールドの提供、専門家による技術支援などの「伴走支援」を行う。具体的には、プロジェクトの事業化に必要な経費支援や市場ニーズの把握、事業計画のブラッシュアップなどのサポートが提供される。また、連携促進のための交流会や、成果報告会なども予定されており、県内外の企業や機関との協力が進められる。


ホームページはこちら