地域課題の解決と持続可能な観光振興を目指し、日本航空株式会社(JAL)をはじめとする複数の企業・自治体が連携。「Donate & Goコンソーシアム」が9月11日に設立された。訪日観光客の地域貢献を促し、地域の文化や自然を保全する新たな仕組みの導入が図られる。
地域への寄付を通じ、観光客が積極的に地域保全に貢献する時代を作る
このコンソーシアムは、日本航空株式会社(JAL)、京都市、倶知安観光協会、大阪ガス株式会社、株式会社ギフティが共同で設立したもので、訪日客を地域に誘致するだけでなく、地域の歴史や文化、自然環境の保全を促進することを目指している。地域課題の解決と観光の持続可能性を追求し、多地域や民間企業が一体となって新しい観光スタイルを提案する。
「Donate & Go」は、訪日客が地域で観光消費を行うだけでなく、地域の保全活動に寄付する仕組みを取り入れたプロジェクトだ。訪れた観光地に対し、訪日客が寄付を行うことで、地域の景観や文化、自然を守る活動をサポートする。寄付を行った観光客には、地域の加盟店や観光施設で利用できる体験型のご当地ギフトが贈られる。このギフトを通じて、観光客が地域の魅力を体験し、地域とのつながりを深めることを目指している。
この仕組みは、単なる観光消費を超えて地域の価値を深く知り、地域と持続的に関わる「関係人口」を育てることを目的としている。寄付により地域の保全活動に貢献しながら、地域独自の体験を通じて訪日客が地域の一員として感じられるような新しい観光の形が提案されている。
この取り組みの第一弾として、京都市で訪日観光客を対象にした「Preserve Kyoto Gift」が開始された。これは、訪日客が寄付を行うと、京都市内の加盟店で利用できる電子ギフト券が提供される仕組みだ。京都市は、歴史的な文化財や風景が多く残る一方で、観光による負荷が課題となっている。「Preserve Kyoto Gift」は、こうした課題に対応し、観光客が地域の文化保全に貢献しながら、京都の魅力をより深く体験できるような形で展開される。
京都市での成功を踏まえ、12月には北海道ニセコエリアでも同様の取り組みがスタートする予定。ニセコエリアは、豊かな自然環境と観光資源を持つ地域であり、この仕組みを通じて観光客が地域の自然環境を守る活動に参加できることが期待されている。
「Donate & Goコンソーシアム」は、単なる観光消費の促進だけでなく、観光デジタルトランスフォーメーション(観光DX)と地域経済の活性化も視野に入れている。株式会社ギフティが提供する電子ギフト券は、寄付による地域貢献をデジタル化し、観光客が簡単に利用できるような仕組みを整備している。また、JALは航空ネットワークを通じて日本各地への観光誘致を強化し、機内誌やSNSなどの自社媒体を活用して地域の魅力を広く発信していく。
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