BASFは、複数年にわたる「Global Carbon Field Trials」の初期結果を発表し、農業における温室効果ガス(GHG)排出量削減の可能性を明らかにした。イタリアやドイツを含む各地の試験結果により、主要作物の栽培で最大30%のGHG削減が実現できることが示され、農業が気候変動対策に貢献する道筋が提示された。
作物に応じた対策で温室効果ガス排出削減を実現
農業分野では、気候変動に対応した持続可能な方法が求められている。特に、BASFは2020年に、作物1トンあたりのGHG排出量を30%削減するという目標を掲げて以降、この分野での取り組みを強化してきた。その一環として、2021年から2023年にかけて実施された「Global Carbon Field Trials」では、主要作物でのGHG排出削減が試みられた。これにより、地域や作物ごとに最適化されたアプローチを用いることで、従来の栽培方法に比べて最大30%のGHG削減が可能であることが確認された。
小麦やイネ、大豆などの主要作物で試験が行われた結果、GHG排出を抑えるための万能な解決策は存在しないことが判明し、個別のソリューションが必要であることが明らかになった。例えば、イタリアでのイネの試験では、直播栽培と水管理技術の導入により、従来の栽培方法に比べ最大16%のGHG削減が達成された。また、ドイツで行われた小麦の試験では、デジタルソリューションと窒素安定剤の組み合わせにより、最大30%の削減が報告された。
BASFは今後もパートナーと協力し、持続可能な農業技術の開発を続けていく方針であり、アジアや南米での試験も計画されている。このような取り組みが、農業が持続可能な未来を築くための大きな一歩となることが期待されている。