カナデビア株式会社は、持続可能な未来を目指し、2つの画期的な取り組みを発表した。一つは、山梨県都留市に建設されるPEM型水素発生装置の量産工場だ。この新施設により、世界規模での水素社会実現が加速することが期待されている。もう一つは、厚さを1/4に抑えた1Ah全固体リチウムイオン電池の開発である。これらの技術革新は、エネルギー業界の脱炭素化に寄与するだろう。
水素社会の基盤となる量産工場、2030年代に売上高1,000億円超を目指す
カナデビア株式会社が新たに建設する山梨県都留市の量産工場は、PEM型水素発生装置の中核を担う水電解スタックを年産1GW規模で生産する予定だ。同社の「Forward 25」計画に基づく総額80億円の投資は、脱炭素化社会を支える戦略的な布石といえるだろう。2028年度末までに操業開始を計画しており、国内外の需要に応えるべく大規模な供給体制を整える方針だ。
この工場では、画像診断やトレーサビリティを可能にするDX技術を活用し、スタック製造工程の自動化と効率化が図られる。生産能力強化により、2030年代には水電解スタック・システムを基点とする水素関連事業で売上高1,000億円以上、2040年代には2,000億円以上を目指している。さらにこの新技術は、脱炭素関連の多様な製品と統合したソリューションを国内外で提供する可能性も秘めている。水素社会実現への布石として、同社の取り組みは大きな意味を持つと思われる。
次世代全固体リチウムイオン電池が切り拓く新たな産業用途
カナデビアが発表した新型1Ah全固体リチウムイオン電池は、従来モデルに比べ厚さを3.0mmと1/4に抑え、体積当たりエネルギー密度を200Wh/L以上に向上させた。この技術革新により、宇宙用装置や半導体製造装置など、電池の小型化が求められる分野での採用が期待される。
同社の電池は既に宇宙空間での充放電試験をクリアし、JAXAから宇宙飛行証明書を取得している実績を持っている。今後はさらなる高容量化や小型化に向けた研究開発を推進し、多様な産業分野での適用を目指していくとしている。
カナデビアが挑戦を続ける、エネルギーシステムの根幹を変える可能性を持つこれらのプロジェクトは、カーボンニュートラル社会の実現に向けた具体的な一歩となるだろう。