大阪・関西万博と同時期に開催される「Study:大阪関西国際芸術祭2025」が、その全容を発表した。大阪の主要都市エリアを舞台に、国内外のアーティスト65組以上が参加。会場ごとに異なる社会テーマに挑む構成で、アートを通じて人と都市、そして未来の在り方を問いかける。芸術祭のキーワードは「ソーシャルインパクト」。都市と人間、そして経済にまで波及するアートの可能性が、大阪から世界へと発信されようとしている。

都市全体を舞台に展開される“社会実験”。アートが生む創造力と想像力の交差点。
「Study:大阪関西国際芸術祭2025」は、2025年4月11日から10月13日までの半年間、大阪市内とその近郊の複数会場で開催される国際芸術祭だ。大阪・関西万博の開催と同時期に実施されることで、関西圏全体を巻き込み、アートの力で都市を活性化するという壮大な挑戦が始まろうとしている。
今回のテーマは「ソーシャルインパクト」。これは芸術祭の展示やイベントが、単なる鑑賞体験にとどまらず、人々の意識や行動、ひいては社会の構造そのものに変化をもたらす契機となることを意味している。芸術を通じて課題を顕在化させ、共感を呼び、議論を促すという構造は、これまでの美術展とは一線を画す構成だ。
芸術祭は、全体で6章で構成されている。万博会場内では、国際色豊かなパブリックアートを展開し、来場者に文化的な“対話”を促す。一方で、西成では地域密着型の取り組みとして、釜ヶ崎芸術大学や地元住民との共同制作を行うなど、地域の歴史や社会課題に寄り添った展示も行われる。都市再開発が進む船場やキタエリアでは、未来の人間像や都市生活に焦点を当てたインスタレーションや音楽・映像表現が展開される。
またグランキューブ大阪では、日本と韓国の国交正常化60周年を記念した国際アートフェア「Study × PLAS: Asia Art Fair」が開催されるほか、若手クリエイターやスタートアップを支援するビジネスコンテスト「StARTs UPs」も予定されている。芸術を“経済活動”として機能させる側面も打ち出し、文化とビジネスの接続を模索している点が特筆される。

2025年はゴールではなく、国際芸術都市としての出発点。
参加アーティストには、マウリツィオ・カテラン、ロン・ミュエク、森村泰昌、パトリシア・ピッチニーニ、のんなど国内外の注目作家が名を連ねる。加えて、シーサイドスタジオCASOではヨーロッパ発の没入型デジタルアートも展示予定で、アナログとデジタルの融合による新しい芸術体験も期待されている。
この芸術祭は、過去3回にわたる“プレ開催”を経て、2025年でいよいよ本格開催となる。主催者は「2025年はゴールではなく、国際芸術都市としての出発点」だと語る。アーティストやクリエイターが定住し、街の魅力と文化が循環する未来像「関西アートリージョン」の創出こそが、この芸術祭の最終的なビジョンなのだ。
1970年の大阪万博で太陽の塔が象徴となったように、2025年の大阪は再び“芸術”で世界に記憶される都市になるのかもしれない。「Study:大阪関西国際芸術祭2025」は、その社会的・文化的な可能性を賭けた壮大な実験であり、未来への架け橋となるイベントだ。

ドイツの研究機関と共に、人間とは何かを問う「Reshaped Reality」展を開催

キュレーター・佐久間 洋司による「思弁的な音楽 / New Storytelling」展を開催

こえとことばとこころの部屋(ココルーム)・釜ヶ崎芸術大学、および「kioku手芸館 たんす」を拠点に展開するファッションブランド「NISHINARI YOSHIO」と連携。新しい出会いと創造の場を生み出す。