商船三井は、東京ガス向けに建造中のLNG(液化天然ガス)運搬船に、風力補助推進装置「ウインドチャレンジャー」を2基搭載することを決定した。風力を活用して燃料消費量と温室効果ガス排出量を抑える本装置のLNG船への採用は、世界で2例目となる。脱炭素社会に向けた次世代海上輸送の象徴として、2025年以降の本格運用が注目される。

風力の力をエネルギーに変える、次世代のLNG輸送船が出航へ。

世界的にLNG需要が高まる中、その海上輸送における環境負荷低減が急務とされている。新たに風力推進装置を搭載するLNG運搬船は、商船三井が建造を進める東京ガス向けの新造船で、東京エルエヌジータンカーが長期用船契約を締結した。
ウインドチャレンジャーは、伸縮可能な硬翼帆を用いた風力推進補助装置で、自然風を動力源として利用することで、主機関の稼働負荷を軽減する。これにより、燃料の使用量を削減し、CO₂をはじめとする温室効果ガスの排出量低減が可能となる。すでにばら積み船において最大17%の燃料削減効果が報告されており、その技術的有効性が実証されつつある。
LNG船への同装置の搭載は、2024年に商船三井とChevronが手がけた船に続き、今回が世界で2隻目となる。ばら積み船を含めれば、これまでに2隻が竣工し、今後7隻の建造が予定されている。風力を主動力に加える発想は、従来の舶用推進の常識を覆すもので、海運業界における脱炭素の流れを加速させる一因となっている。
商船三井は、世界最大のLNG船主として、再生可能エネルギーの活用を積極的に進めてきた。従来型の燃料技術と新たな風力技術を融合させることで、輸送効率と環境配慮の両立を目指している。今後も同社は、ウインドチャレンジャーの導入を拡大し、脱炭素社会の実現に向けた海上輸送の革新を牽引していく構えだ。
風力が再び海の主役となる未来が、目前に迫っている。

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