国土交通省・経済産業省・環境省が連携し、家庭部門の省エネ転換を強力に後押しする「住宅省エネ2025キャンペーン」が始動した。対象は新築住宅から既存住宅のリフォームまで広く、省エネ性能の高い住宅づくりを促進することで、2050年カーボンニュートラルの実現に向けたGX(グリーントランスフォーメーション)を推進する。

断熱・窓・給湯まで、GX型住まいへの転換を後押しする4つの補助制度。
脱炭素時代における住宅のあり方が問われる中、「住宅省エネ2025キャンペーン」は家庭部門におけるエネルギー消費の削減を目的とし、住宅の新築・リフォームに対する国の補助事業をパッケージ化したものだ。
本キャンペーンでは、以下の4つの事業が柱。
「子育てグリーン住宅支援事業」
「先進的窓リノベ2025事業」
「給湯省エネ2025事業」
「賃貸集合給湯省エネ2025事業」
これらはすべての世帯を対象とし、断熱性の高い窓や高効率な給湯器の導入、さらには省エネ性能の高い住宅全体の建築・改修を後押しする制度になっている。
たとえば新築住宅の場合、「GX志向型住宅」であれば世帯の属性を問わず160万円の補助が受けられるほか、「長期優良住宅」は最大80万円、「ZEH水準住宅」でも40万円が交付される。さらに、エコキュートやハイブリッド給湯機、エネファームといった高効率給湯器の設置には、最大16万円/台の補助が追加で支給される。
リフォーム対象となる既存住宅においても、先進的な断熱窓の改修では最大200万円、子育て世帯や高齢世帯のバリアフリー改修等を含むリフォームでは最大60万円が交付される。また、給湯器に特化した補助として、一般住宅では最大7万円/台、賃貸集合住宅では最大3万円/台の支援が用意されている。
建築やエネルギー消費の在り方を根底から見直す、住宅省エネ新時代。
これらの補助制度を活用するには、事業者が「住宅省エネ支援事業者」として登録し、工事や販売においてGX実現への協力姿勢を明示する必要がある。
政府がこのような住宅政策を打ち出す背景には、家庭部門が国内のエネルギー消費全体の約15%を占めるという実態がある。特に住宅の断熱性能や給湯設備の効率改善は、比較的短期間で効果を見込めるとされており、GXにおける重要な施策の一つに位置付けられている。
また、キャンペーンでは省エネ住宅の普及だけでなく、建設業界全体にGXへの対応を求めている点も見逃せない。住宅省エネ支援事業者の登録制度により、設計・施工から販売・管理まで、サプライチェーン全体にGX意識の浸透を促している。
申請は、登録事業者が公式サイト経由で行う仕組みで、予算上限に達し次第終了する。対象となる施策や申請の詳細は、キャンペーンの公式サイト(https://jutaku-shoene2025.mlit.go.jp/)にて公開されている。
この「住宅省エネ2025キャンペーン」は、建築やエネルギー消費の在り方を根底から見直す契機となるだろう。単なる補助金制度にとどまらず、GXという社会構造の転換を住宅という足元から始める動きとして、今後の注目が集まる。
