ホテルコンチネンタル府中(東京都府中市)が、青森に所有する直営農場「東北牧場」で栽培された無農薬野菜やブランド卵、野草、山菜などを活かした「東北牧場弁当」の販売を開始した。食材のすべてが自社で生産・調理されるこの弁当は、単なる料理を超えて、100年後の農業と食文化を見据えた“持続可能な味覚体験”でもある。

「東北牧場弁当」メニュー内容
・牧場野草「たんぽぽ」ごはん
・かぶの葉のおひたし
・二十日大根
・東北牧場の味付け卵
・牧場野草「ハルジオン」のフリッター
・あやめ雪かぶのフリッター
・とう立ちふきのとうのきんぴら
・ネバリスターの素揚げ
・牧場ブランド卵の玉子焼き
価格:¥1,500(税込)

サラブレッドから生まれた土壌で育つ“天然の食材”たち。

「東北牧場弁当」が他の弁当と一線を画す理由は、その食材にある。使用される野菜・卵・山菜・野草のすべてが、青森県にあるホテル直営の農場「東北牧場」で育まれている。1917年創業のサラブレッド牧場を起源に持つ東北牧場では、1987年から競走馬の堆肥を活用した循環型農業に取り組んできた。農薬・化学肥料・除草剤を一切使わず、自然と共生する農業手法によって育まれた土壌は、年間100種以上の野菜やハーブ、米を育てる力を持つ。
その象徴ともいえるのが、残留農薬ゼロが証明されたブランド卵「青玉」と「赤玉」だ。青玉は南米原産の鶏・アローカナの血を引く「あすなろ卵鶏」から産まれ、翡翠色の殻と、濃厚でクリーミーな味わいが特徴。著名なジャーナリストや料理人が「日本一うまい卵」と称賛するほどだ。
今回の「東北牧場弁当」には、このブランド卵をはじめ、「たんぽぽごはん」や「ハルジオンのフリッター」、「とう立ちふきのとうのきんぴら」など、一般市場には出回らない野草や山菜もふんだんに盛り込まれている。野草は、牧場に自然自生する“天然の野菜”で、春の力強さを宿した生命力に満ちている。

“弁当”を通じたサステナブル・ガストロノミーの挑戦。

ホテルコンチネンタル府中は、「食材の栽培から調理・提供までを一貫して行うこと」にこだわりを持つ。館内にある3つのレストランでは、東北牧場から直送される食材を和・洋・中の専属料理長が独自の調理法で提供している。その中でも「東北牧場弁当」は、テイクアウトという形で“食の循環”を東京の街中に届ける新たな試みだ。
価格は1,500円(税込)と、ブランド卵1個が300円とされる高品質素材から見れば、驚くべきコストパフォーマンスと言える。昼食、夕食はもちろん、レストランでの食後の土産としても人気を集めている。
背景には、「100年後にこの取り組みをつなぐ」というホテルと農場の共通理念がある。東京で消費された食材の対価が青森へ還流し、農業の持続と地域の雇用創出につながる。そして東京では、青森の自然が育んだ食材による至福の食体験が生まれる。これは単なる“弁当”ではなく、持続可能な地域循環経済の象徴であり、ガストロノミーを通じた新しい社会貢献の形と言えるのではないだろうか。

農業と観光のハイブリッド。ホテルの「新しい価値」づくりへ。

現在、国内外の旅行者が求めるのは、画一的な宿泊サービスではなく、そこにしかない“体験”だ。ホテルコンチネンタル府中では、「東北牧場」というリアルな生産地との連携を強みに、食を通じてそのニーズに応えてきた。
同ホテルは「楽天トラベル 東京都の食事評価ランキング」や「日経トレンディ ビジホ朝食ランキング」で1位を獲得するなど、食の分野での評価も高い。NHKなどメディアでもたびたび取り上げられており、今や「農場とつながるホテル」というポジションを確立しつつある。
今後、「東北牧場弁当」は単なる商品にとどまらず、フードツーリズムの起点となる可能性も秘めている。たとえば、東京で弁当に出会い、青森の農場を訪ねるという旅のストーリーも想定されるだろう。都市と農業、ホテルと牧場、料理と社会課題…。異なる領域を越境し、食を通して未来に橋を架ける「東北牧場弁当」は、その第一歩と言えるかもしれない。

ホテルコンチネンタル府中
所在地:〒183-0055 東京都府中市府中町1-5-1
お電話:042-333-7111(代表)
東京府中駅まで徒歩1分
URL:https://www.hotel-continental.co.jp/