神奈川県は、「薄くて、軽くて、曲げられる」という特徴を持つペロブスカイト太陽電池などの次世代型太陽電池の早期普及を目指し、県内各地での実証事業と、産官学金民が連携する新たなプロジェクトを始動させる。この取り組みは、多くの県民や事業者に次世代型太陽電池の可能性を「見える化」し、2050年の脱炭素社会実現に向けた歩みを加速させることが目的だ。

神奈川中央交通株式会社の路線バス(設置イメージ)

産官学金連携で、路線バスや駅を含む県内5カ所で「見える化」を実証。

脱炭素社会への移行が急がれる中、再生可能エネルギーの主力として期待される太陽光発電だが、従来のシリコン系太陽電池は重量や設置場所の制約といった課題があった。これに対し、ペロブスカイト太陽電池に代表される次世代型太陽電池は、「薄くて、軽くて、曲げられる」という特性から、これまで設置が難しかったビルの壁面や車両、耐久性の低い屋根など、多様な場所への活用が見込まれている。
この可能性を広く周知するため、神奈川県は県内5カ所で実証事業を行う事業を採択した。準備が整い次第、2025年9月下旬頃から順次開始される。具体的には、神奈川中央交通の路線バスの車体や、多くの人が行き交う箱根湯本駅、早雲山駅といった公共交通機関のほか、日産自動車の販売店や県の施設などが実証の場として選ばれた。この「見える化」を通じて、県民や事業者に次世代型太陽電池の利便性や先進性を身近に感じてもらう狙いがある。
この実証事業と並行して、神奈川県は「かながわ脱炭素推進会議」の下に「かながわ次世代型太陽電池早期普及プロジェクト」を新たに立ち上げた。このプロジェクトには、学識経験者、電池開発メーカー、設置を希望する企業、金融機関、自治体など、約40者が参加する。産官学金民が一体となる「オール神奈川」体制で、次世代型太陽電池の需要創出と早期普及を強力に推進していく。
プロジェクトの第1回会議は2025年7月30日に開催が予定されており、次世代型太陽電池の開発状況や課題を共有する。さらに、倉庫の屋根への設置など具体的なケーススタディを通じて、普及に向けた課題の整理や検討を進めていく。

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