
★要点
ガラスびん大手の日本山村硝子が、自社の植物工場で発生する規格外の「サラダケール」を活用し、「特製本格ピザ」を開発。形が不揃いなだけで廃棄されていた“B級品”を、主役級の食材へとアップサイクルする。クラウドファンディングサイトMakuakeで先行販売を開始し、フードロス削減と新たな食体験の創出に挑む。
★背景
フードロス問題への関心が高まる一方、生産現場ではいまだ多くの「規格外品」が価値を認められずに廃棄されている。特に、天候に左右されない植物工場においても、個体差による規格外品の発生は避けられない。この「もったいない」を、企業の創造性と技術力で新たな価値(プロダクト)へと転換できるかが、これからの食品業界の競争力を左右する。
形が少し悪いだけで、捨てられてしまう野菜がある。その「もったいない」を、「おいしい」に変える挑戦が始まった。ガラスびんメーカーの日本山村硝子が、自社の植物工場で出る規格外のケールを、本格的な冷凍ピザへとアップサイクル。フードロスという社会課題を、食卓を豊かにする“ごちそう”へと昇華させる、創造的な一手だ。
リピート率60%超えの人気ケール、その裏側の課題
日本山村硝子が手掛ける植物工場野菜ブランド「きらきらベジ」。その主力商品である「サラダケール」は、苦味が少なく柔らかいと評判で、ECサイトではリピート率60%を超える人気を誇る。しかし、その裏側では、形やサイズが不揃いという理由だけで、品質は一級品にも関わらず市場に出せない規格外品が、月に約100kgも発生していた。 この「隠れフードロス」をなんとか有効活用できないか。そんな想いから、ケールを主役にしたピザの開発が始まった。


ケール50gを贅沢に使用、主役はあくまで“規格外”
完成した「ケールとエビのピザ」は、規格外のサラダケールを1枚あたり50gも贅沢に使用。相性の良いエビとトマトソースを組み合わせ、ケールの美味しさを最大限に引き出すレシピを開発した。セットで販売される王道の「マルゲリータ」や「クワトロフォルマッジ」と並んでも、その存在感は主役級だ。 クラウドファンディングサイトMakuakeでの先行販売では、このケールピザ3枚のセットや、3種のピザセットなどを、最大20%OFFの価格で提供。フードロス削減と“おいしいケール体験”の両立を目指すこのプロジェクトへの、共感と支援を募る。

ガラスびんメーカーが、なぜ野菜を?
ガラスびんメーカーが植物工場を手掛けることに、意外性を感じるかもしれない。しかし、同社はガラスびん製造で培った温度管理や品質保持の技術を活かし、気候変動に左右されずに安定して高栄養野菜を生産するノウハウを蓄積してきた。 今回のピザ開発は、自社の事業活動から生まれる「もったいない」に真摯に向き合い、それを新たな価値へと転換する、サーキュラーエコノミーの実践そのもの。企業の持つ技術力と創造性が、社会課題を解決する力になることを示す、好例と言えるだろう。
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