★ここが重要!

★要点
静岡の老舗製茶問屋・岩崎恭三商店と、大阪発のブランド企画会社hailuが、全国で増加する耕作放棄茶園の課題解決を目指す循環型ブランド「OOLLSEE(オールシー)」を立ち上げた。これまで価値がないとされてきた茶の木の「枝・実・花」までも再活用し、食品から化粧品までを開発。新たな価値を創造し、国内外へ展開する。
★背景
農家の高齢化や後継者不足により、全国の荒廃農地は26万ヘクタールに達し、特に静岡などの茶産地では耕作放棄茶園の増加が深刻な景観・生態系への影響を及ぼしている。この「負の遺産」を、単に再生するだけでなく、新たな価値を生む「資源」として捉え直し、持続可能なビジネスモデルを構築できるかが、日本の農業と地方創生の未来を左右する。

打ち捨てられた茶畑に、新しい価値の芽吹きが始まっている。静岡の老舗製茶問屋と、大阪発のブランド企画会社が手を組み、耕作放棄された茶の木を、根こそぎ価値に変える循環型ブランド「OOLLSEE」を始動させた。茶葉はもちろん、これまで捨てられていた枝、実、花までも使い切り、食品から化粧品までを生み出す。これは、日本の農業が抱える課題を、創造性とデザインの力で希望に変える、美しい挑戦だ。

“もったいない”の再発見——茶の木の全てを資源に変える

ブランド名の「OOLLSEE」は、「一つの原料(One Origin)」から、人と自然に良い「未来を見る(Will See)」という想いを込めた造語。その名の通り、彼らは茶の木という一つの植物が持つ、無限の可能性を追求する。 茶葉と枝は、カフェインレスのインスタント三年番茶「OOLLTEA」へ。茶の実は、抗酸化力が高く栄養価も豊富なオイルに。そして年に一度、数週間しか咲かない貴重な茶花からは、エキスを抽出してアロマティック化粧品へと生まれ変わらせる。さらに、製造過程で出る茶の灰や端材までも、茶器の釉薬や衣類の染料として活用。廃棄物を一切出さない、完璧な循環モデルを構築した。

老舗の技術と、スタートアップの感性が交差する

このプロジェクトの強みは、異分野の二社が持つ専門性の融合にある。静岡で長年、茶と向き合ってきた岩崎恭三商店は、茶葉だけでなく、枝や実、花を加工するための伝統的な技術と知見を持つ。一方、大阪を拠点とするhailuは、その素材が持つ物語を、現代のライフスタイルに響くブランドへと昇華させるデザイン力と商品企画力を持つ。 老舗の「技術」と、スタートアップの「感性」。この二つが交差することで、耕作放棄茶園という地域の課題が、国内外の市場を魅了する高付加価値なプロダクトへと転換される。農家への適正な還元を可能にする、持続可能な収益モデルの構築も目指す。

静岡から、世界へ。日本茶の新しい物語

「OOLLSEE」の挑戦は、国内に留まらない。2026年1月には、米国サンディエゴで開催された食の見本市「Winter Fancy Food Show」にも出展。日本茶の新しい楽しみ方として、すでにアメリカ西海岸でのテスト販売も開始している。 耕作放棄茶園という、日本のローカルな課題から生まれたブランドが、グローバルな市場で新たな価値を問いかける。それは、日本の茶文化の豊かさを、サステナビリティという新しい文脈で世界に発信する、壮大な物語の始まりだ。

公式instagram https://www.instagram.com/oollsee_jp/ 

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