「京橋の巣箱」を設置した東京スクエアガーデン3階「京橋の丘」の様子
★ここが重要!

★要点
東京建物が、東京・京橋の複合ビル「東京スクエアガーデン」の緑化空間に、剪定枝や建物の廃材を再生利用した巣箱を設置。3Dプリンターなどの技術で制作した巣箱にはライブカメラを内蔵し、都市生活者が野鳥の営巣をリアルタイムで観察できる「共生体験」を提供する。
★背景
世界のサステナビリティ潮流は、環境負荷をゼロに近づける「サステナブル」から、さらに一歩進んで、失われた自然を積極的に「再生(Regenerate)」する「リジェネラティブ」へと移行している。都市開発においても、単に緑を増やすだけでなく、そこに多様な生き物が住まう豊かな生態系をいかに育むか、という新しい価値観が問われている。

コンクリートジャングルの真ん中で、鳥のさえずりに耳を澄ます。そんな未来が、すぐそこまで来ているのかもしれない。東京建物が、京橋の超高層ビルの足元に広がる緑の丘に、廃材から生まれた「巣箱」を設置した。これは、都会に野鳥を呼び戻す試みであると同時に、失われた自然を都市の中に積極的に「再生」していく、リジェネラティブという新しい思想の実践だ。

廃材が、鳥の住処になるまで——3Dプリンターが編む、循環のデザイン

今回設置された「京橋の巣箱」は、その素材からしてユニークだ。ビルの緑地で出た剪定枝や枯れ葉、さらには建物由来の廃材などを再生利用。それらを3Dプリンターなどのデジタル技術で、鳥が安心して営巣できる有機的なフォルムに編み上げた。卵の形から着想を得た「Cocoon Nest」や、切り株と一体化した「Growing Nest」。どちらも、周囲の自然に溶け込み、外敵から雛を守るデザインだ。 さらに、鳥たちが巣作りの材料を選べる「巣材スタンド」も設置。イベントで使われた布の端切れなど、人間にとっての“ゴミ”が、鳥たちにとって大切な“家”の一部になる。都市における資源循環と生態系の循環が、美しく交差する。

卵の形から着想を得た「Cocoon Nest」
切り株と一体化した「Growing Nest」
都市の生態系を支える「巣材スタンド」

ライブカメラが映し出す、小さな命の物語

このプロジェクトの真骨頂は、巣箱の中に仕込まれた小型ライブカメラにある。鳥たちがどの素材を選び、どのように巣を組み上げ、卵を産み、雛を育てるのか。その一部始終が、ビルを訪れる人々の目にリアルタイムで届けられる。 オフィスエントランスに設置されたモニターには、都会の喧騒とは無縁の、小さな命の営みが映し出される。それは、訪れる人々にとって、生物多様性への理解を深め、自然との共生を身近に感じる、生きた学びの場となるだろう。巣箱は、自然と人間社会を繋ぐ、新しい“窓”なのだ。

サステナブルから、リジェネラティブへ

東京建物は、これまでも「いきもの共生事業所®認証」の取得など、生物多様性に配慮した環境保全に取り組んできた。今回のプロジェクトは、その思想をさらに一歩進め、失われた自然を積極的に「再生(Regenerate)」する、リジェネラティブな社会を目指すもの。 ただ緑を増やすだけではない。そこに生き物が集い、新たな生態系が育まれることで、都市はもっと豊かになれる。日本鳥類保護連盟の監修のもと、都会のオアシスで始まったシジュウカラの営巣支援。この小さな巣箱から、東京をリジェネラティブな都市へと変える、大きな物語が始まる。

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