アメリカのOpenAI社が開発した対話型ChatGPTが世界の注目を集め、企業の人事評価や人材育成などにAI導入が始まっている。また働き方改革の影響もあり、会議室やトイレの空き状況管理、在席状況の可視化、セキュリティ管理などオフィス環境のAI化とスマート化も加速し始めた。

そんな流れの中で、ビルの設備管理とエネルギーマネジメントに関しても必要な場所にだけ電気を点灯したり、空調チューニングしたりといったスマートビル化も、新築ビルなどを中心に広がりを見せている。

一方、施工から数十年が経過したようなビルでは、躯体に手を入れるような設備・システム更新は、大規模修繕の時期まで待たなくてはならない。同時にメーカーや装置・機器に依存した縦割りシステムや組織によるビル管理が長年続いてきたため、新たなシステムで柔軟に対応したいと思っても、熟練スタッフ不足などなかなか思うようにいかないのが現実だ。

この状況を変えたいと起業したのが、AIスタートアップ企業・アドダイス。彼らの開発した「SEE GAUGE (シー・ゲージ)」は、独自の特許技術「S oLoMoN®テクノロジー」に基づくAIで、熟練技術者の勘と経験による操作を高速、高精度で学習し、予兆制御® を実現する。何より、既存のシステムにAIを後付けで管理することができるのが大きな特徴だ。これによって、大規模な工事なしで、現状のスタッフによるAI管理が可能となる。

中央監視に集まったデータをAIで分析・制御

1970 年代に開業した、横浜駅西口の「顔」とも言える商業施設「相鉄ジョイナス」では2021年11月からSEE GAUGEを本格導入し、空調管理をAI 化したことで、快適性が大幅に向上し、お客さまからの空調に関するご意見を最大8割減、さらにエネルギー利用効率の最適化、業務の平準化、省力化などを実現している。 他にもSEE GAUGEは、遠隔地にある複数施設の自動制御や、空調制御にとどまらず、センサーデータを得て監視・管理を行う業務であれば、同様にAI化が可能だ。

常時張り付き監視から解放され、業務負担も平準化されるなど担当者の「働き方改革」も実現した。

少子高齢化による人手不足が深刻化する中、高度経済成長期のような労働集約型でなく、単純な判断や作業はAIに依存・委譲し、人にも時間とゆとりを与え、違う生き方、価値感を創出するような社会を実現していくことが必要だ。

AIは、ビルで働く人、お客さま、暮らす人にとって快適な環境を作り、監視カメラなどで人流を計測したり、体調や健康面も管理することもできる。警備業 抽出 グラフ データで抽出 抽出 できない SoLoMoN AIで AIリスク分析 務でも不審者や急病人を見つけたり、トラブルを検知 するといった、いろいろなAIの大きな視野で社会を見守る目をつくっていくことが、サステナブル&メンテナブルな社会を作っていくことにつながるはずだ。

Text Yasuo Matsumoto