EUMIS biomaterialsは、農業廃棄物を活用し、100%植物性かつ生分解可能な新素材「EUMIS skin」を開発した。耕作放棄地の柿渋や甜菜糖製造時の廃棄物を独自発酵技術で活用し、自然の循環とものづくりの共存を目指すこの素材は、日本国内初の完全循環型バイオマテリアルとして注目を集めている。

本革・合成皮革に代わる次世代オルタナティブとは?
アパレル産業の環境負荷に挑む“ご当地skin”構想も始動。

大量生産・大量廃棄を前提とする直線型経済の限界が叫ばれる中、とりわけアパレル産業は、資源の過剰消費や水質汚染、さらには年間数十億点にのぼる衣料品廃棄といった深刻な環境負荷が指摘されている。従来の本革製造には、工業型畜産や薬品使用、水資源の大量消費など、多くの負の外部性が伴ってきた。これらを背景に登場したヴィーガンレザーも、その多くが石油由来素材に依存しており、抜本的な環境負荷低減には至っていなかった。
こうした現状に対し、EUMIS biomaterialsは「自然の循環とものづくりの共存」という理念のもと、100%植物性かつ生分解可能な新素材「EUMIS skin」を開発。主原料には、日本の伝統素材である柿渋と、甜菜糖製造過程で生じる廃棄原料由来のセルロースナノファイバーを使用しており、口にしても安全なレベルのナチュラルさを実現している。加えて、地域特産の食品廃棄物を活用することで、全国各地の特色を反映した「ご当地skin」の展開も視野に入れている。


「EUMIS skin」は、本革や合成皮革に匹敵する柔軟性と耐久性を備える一方で、不要になった後は自然に還るという特性を持つ。完全植物由来かつ生分解機能を備えた素材は、世界的にも希少であり、特に日本市場では初の試みとなる。
開発を主導した爪長季美さんは、オーダーメイドの仕立て屋として活動するなかでファッション産業の裏側に潜む環境・社会課題に直面し、2021年にEUMIS biomaterialsを立ち上げた。以来、自宅キッチンからスタートした素材開発は、わずか数年で商業化の道筋を切り開いた。

さらに、EUMISは2025年4月、NEDOのディープテック起業家支援プログラム(NEP)に採択。今後は小ロット生産体制の確立とともに、地域資源を活用したご当地skin開発に本格着手し、全国に循環型素材ネットワークを広げる構想を描いている。各地に製造拠点を設け、農家や市民、ブランド企業ら多様なステークホルダーがつながる場を創出することで、循環型社会の具現化を目指す。

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