★ここが重要!

★要点
まち未来製作所が、茨城県神栖市に無償貸与した電気自動車(EV)と充電インフラを活用し、電力の安定供給に貢献する「容量市場」に参加し、収益化を目指す実証を2026年夏から開始。EVを単なる移動手段ではなく「分散型蓄電池」として運用し、その収益を再び地域の活性化に還元する、日本初の「自立型収益循環モデル」を構築する。
★背景
再生可能エネルギーの普及が進む一方、電力の安定供給は国家的な重要課題。EVの普及は、移動の脱炭素化だけでなく、その大容量バッテリーを社会の「調整力」として活用する「V2G(Vehicle to Grid)」という新たな可能性を拓く。この取り組みは、EVが地域のエネルギー課題と財政課題を同時に解決する、未来の社会インフラとなり得ることを示す。

電気自動車(EV)は、もはや単に走るだけの乗り物ではない。茨城県神栖市で、EVが「電気を売って、地域を豊かにする」という、新しい役割を担い始めようとしている。まち未来製作所が仕掛ける「自立型収益循環モデル」は、市のEVを“走る蓄電池”とみなし、その電力供給能力を市場で取引する。そこで生まれた収益が、再び地域の活性化に使われる。EVが、地域の未来を自ら稼ぎ出す時代の幕開けだ。

「供給力」を売買する、容量市場とは何か

この仕組みの鍵となるのが、「容量市場」だ。これは、実際に発電した電力量(kWh)ではなく、「将来、必要な時に電力を供給できる能力(kW)」そのものを売買する、4年後を見据えた電力取引市場。電力の安定供給を支えるための、いわば“保険”のような仕組みだ。 EVは、その大容量バッテリーに電気を貯めることができる。V2G(Vehicle to Grid)という技術を使えば、駐車しているEVの電気を電力網に逆流させ、電力需要が逼迫した際の“供給力”として提供できる。まち未来製作所は、この「EVが持つ潜在的な供給能力」を容量市場で販売し、収益を得ることを目指す。

地域活性化の原資が、新たな原資を生む

この取り組みがユニークなのは、その原資の出所と収益の使い道だ。神栖市に導入されたEVと充電インフラは、もともと、まち未来製作所が再生可能エネルギーの流通で得た収益の一部を、地域へ還元する事業の一環で無償貸与されたもの。 つまり、「再エネの地域間流通で生まれた地域活性化の原資」が、今度は「電力市場で新たな収益を生む資産」へと生まれ変わる。そして、その収益は再び神栖市の地域活性化原資として還元される。地域のために導入した資産が、一度きりの消費で終わらず、自ら次の価値を生み出し続ける。まさに「自立型収益循環モデル」だ。

EVは、動く社会インフラへ

このモデルが全国に広がれば、EVの価値は根底から変わるかもしれない。個人や法人が所有する無数のEVが、駐車している時間には社会の電力網を支える「分散型蓄電池」として機能する。それは、巨大な発電所に頼らない、より強靭でしなやかなエネルギー社会の実現に繋がる。 まち未来製作所の挑戦は、EVが単なる移動手段を超え、地域のエネルギーと経済を循環させる、新しい社会インフラとなり得ることを示している。2026年夏から始まる実効性テストが、その未来を占う試金石となるだろう。

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