株式会社グリーンエナジー&カンパニーは、グリーンズ・グリーンホールディングスと提携し、太陽光発電設備下での苔栽培に取り組む。この技術により、従来課題とされてきた発電設備下の農地活用に新たな解決策が生まれる可能性がある。耕作放棄地の再生とクリーンエネルギーの活用を両立させる本プロジェクトは、2025年より広島県の施設で実証実験が進められる。

営農型太陽光発電の課題を克服する苔栽培

国内で増加する耕作放棄地の活用策として、営農型太陽光発電が注目されている。農地の上部に太陽光パネルを設置し、発電しながら農作物を栽培するこの手法は、農業と再生可能エネルギーの両立を目指すものだ。しかし、発電設備の影による日照不足が作物の成長に影響を与え、安定的な収益確保が難しいという課題が指摘されてきた。
この課題に対し、グリーンズ・グリーンホールディングスが開発した「スナゴケシート」を活用することで、新たな解決策が見えてきた。苔は、低照度環境でも育成可能であり、乾燥にも強い特性を持つ。これにより、太陽光パネル下の限られた日照条件でも安定した生育が可能になり、農地の有効活用が進むと期待される。

CO2削減と地域経済の活性化を両立

苔は光合成を行うことでCO2を吸収し、酸素を放出する。特に「スナゴケシート」は、都市部の屋上緑化や公共施設の防草シートとしても応用可能であり、その需要は広がりつつある。営農型太陽光発電と組み合わせることで、環境負荷を低減しながら収益性を確保する新たなビジネスモデルが構築される。
さらに、苔栽培による雇用創出や地域資源の活用も期待される。グリーンズ・グリーンホールディングスはすでに全国各地のプロジェクトで苔栽培技術を提供しており、今回の取り組みが成功すれば、他の地域でも同様のモデルが展開される可能性が高い。

持続可能な農業と再生可能エネルギーの融合へ

グリーンエナジー&カンパニーとグリーンズ・グリーンホールディングスの提携は、持続可能な農業と再生可能エネルギーを融合させる新たな試みとして注目されている。今後、実証実験を経て事業化が進めば、日本国内のみならず、海外の農地活用にも波及する可能性がある。
この取り組みは、単なる発電事業の枠を超え、農業、環境保全、地域経済の活性化といった多方面に貢献するモデルとなるだろう。持続可能な社会の実現に向け、苔という小さな存在が大きな変革をもたらすかもしれない。

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