株式会社IHIは、シンガポールの研究機関ISCE²と協力し、CO2を原料とする持続可能な航空燃料(SAF)の合成技術開発を進めるため、小型スケールのSAF製造試験装置を設置することを決定した。

SAF合成技術の次のステージへ

株式会社IHI(本社:東京都)は、シンガポール科学技術研究庁傘下の研究機関であるISCE²(Institute of Sustainability for Chemicals, Energy and Environment)と共同で、持続可能な航空燃料(以下、SAF)の合成技術の開発を進めており、IHIは水素とCO2からSAFの原料となる液体炭化水素を合成する一連のプロセスを検証するための試験装置を設置することを決定した。2024年9月までにISCE²敷地内に試験装置を設置し、年内に1日当たり100kgのCO2を注入する小型スケールでの試験を開始する予定。
国際民間航空機関(ICAO)は、2050年までに航空機のCO2排出を実質ゼロにする長期目標を掲げており、従来の化石由来の航空燃料がSAFに置き換わることが想定されている。これに応えるべく、IHIはCO2と水素から直接SAFを製造するための触媒開発と効率的なプロセスの構築に取り組んでいる。IHIとISCE²は、2022年にSAF合成の新触媒を開発し、ラボ試験において世界トップレベルの性能を確認している。
今回設置される試験装置では、新たに開発された触媒の性能や耐久性評価を行う。さらに、合成プラントの運転条件の最適化や反応器データの取得を行い、プロセス全体の検証を進める。この装置は、幅5.7m、奥行3.5m、高さ4.4mのベンチ試験装置であり、効率的かつ安定的なSAF製造技術の早期確立を目指す。
環境にやさしく、経済的な航空機におけるカーボンニュートラルを実現するためには、効率的かつ安定的なSAF製造技術の確立が求められている。IHIは、今回の試験装置の設置を通じて、SAF製造技術の早期実用化を目指す。環境保護とエネルギー効率の向上を図るため、技術開発を進めていく。



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