★ここが重要!

★要点
花王が、洗剤やシャンプーの使用済みつめかえパックを回収・再資源化する「リサイクリエーション」の取り組みを、新たに山形県酒田市で開始。小田原市、和歌山市に続く、自社の主要拠点がある自治体との連携拡大で、地域ぐるみの資源循環モデル構築を加速させる。
★背景
プラスチックごみ問題への関心は高まる一方、多層フィルムでできた「つめかえパック」のリサイクルは技術的に難しく、その多くが焼却処分されてきた。しかし、技術革新により、使用済みパックを再び新しいパックへと再生する「水平リサイクル」が現実のものに。企業の技術力と、自治体の回収システム、そして生活者の分別行動が連携する「三位一体」の仕組みづくりが、サーキュラーエコノミー実現の鍵を握る。

私たちが日々使い終える、シャンプーのつめかえパック。その一枚一枚が、ゴミではなく、未来の資源になるかもしれない。花王が推進する「リサイクリエーション」は、そんな壮大なビジョンを現実にするための挑戦だ。新たに山形県酒田市をパートナーに加え、自治体と企業、そして生活者が連携する資源循環の輪を広げる。これは、捨てていたものに新たな価値を創造する、新しい時代のものづくりの物語だ。

なぜ「自治体連携」が鍵なのか

花王は2015年から「リサイクリエーション」活動を開始し、これまでに累計335万枚以上のつめかえパックを回収してきた。しかし、その多くは商業施設などでの拠点回収に頼ってきた。より広範で、安定的な回収網を築くためには、市民に最も近い存在である「自治体」との連携が不可欠だった。
そこで花王は、自社の工場や事業場がある地域との関係性を活かす。すでに包括連携協定を結んでいる神奈川県小田原市、和歌山県和歌山市で先行して回収を開始。そして今回、酒田工場がある山形県酒田市でも、市役所などに回収ボックスを設置する。企業の持つ技術やビジョンと、自治体の持つ住民ネットワークが手を取り合うことで、地域に根ざした持続可能な資源循環システムが動き出す。

“ゴミ”を“原料”に変える、水平リサイクルの最前線

全国で回収された使用済みつめかえパックは、花王の和歌山事業場にあるリサイクル実験施設へ集められる。ここで、インクや異物を洗浄・分離し、再び高品質なプラスチック原料へと再生する。
2023年には、この再生材料を一部に使用し、新たなつめかえパックを製品化することにも成功。これは、使用済みの製品を、品質を落とさず同じ製品へと再生する「水平リサイクル」の画期的な事例だ。ライオン社とも協働し、業界全体のスタンダードを引き上げるべく技術開発を進めている。

「リサイクル」+「クリエーション」=未来

「リサイクリエーション」とは、単に資源を再利用する「リサイクル」と、新たな価値を「クリエーション(創造)」することを組み合わせた花王の造語。それは、環境負荷を低減する守りの活動であると同時に、新しい製品や価値を生み出す攻めのイノベーションでもある。 使用済みつめかえパックという、これまで価値がないとされてきたものに、技術とアイデアで新たな命を吹き込む。そして、その活動を自治体や生活者と共に、一つの大きなムーブメントへと育てていく。花王の挑戦が、日本のサーキュラーエコノミーの風景を、少しずつ変えていくだろう。

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