1年で最も睡眠の質が低下するのは「7月」。睡眠テック企業・ブレインスリープが蓄積した100万件以上の睡眠データから、気温や湿度と睡眠の関係性を独自解析。その知見を活かし、東急不動産と連携して全室に理想の睡眠環境を設計した集合住宅「ブランズ巣鴨三丁目」が誕生した。これからの都市生活に求められる“住まい×睡眠”のあり方を問い直すプロジェクトだ。

1年でもっとも眠れない7月…、深部体温と熱帯夜の関係とは?

ブレインスリープが全国のユーザーから収集した約110万件の睡眠データを解析したところ、1年で最も睡眠の質が悪化する月は7月であることが明らかになった。解析に使用されたのは、スマートフォンアプリ「ブレインスリープ コンディショニング」で記録された「入眠効率」「中途覚醒」「深い睡眠」の3指標だ。
この結果は、7月における高温多湿な環境が深部体温の下降を妨げることと密接に関係している。深部体温は人が入眠するために必要な“体の冷却”を司っており、特に就寝前に深部体温が下がることで質の高い睡眠が得られる。しかし、熱帯夜では外気温が下がらず、体温調整がうまくいかないため、入眠が遅れたり、夜中に目覚めたりするリスクが高まるわけだ。
この分析は、季節や外的環境が睡眠の質に与える影響を科学的に裏付けるもので、単なるエアコンの使用に頼るのではなく、“住環境全体を設計することで眠りを守る”という発想が今後のスタンダードになることも示唆している。

都市型レジデンスに“睡眠設計”を。ブランズ巣鴨三丁目の挑戦。

この睡眠ビッグデータの知見を活かし、東急不動産とブレインスリープが協業して開発したのが、「ブランズ巣鴨三丁目」(東京都豊島区)。2026年竣工予定のこのレジデンスは“日本初のスリープテックレジデンス”として、全住戸の快眠環境をブレインスリープが監修。まさに“眠りの質”を軸に設計された都市型集合住宅と言える。
設計には、音、光、温度、空気環境といった“非接触快眠要素”が細部まで組み込まれており、たとえば以下のような要素が盛り込まれている。

■空間照明設計
体内時計を整えるための「朝・夜の光環境」の設計
■遮音・吸音性能
騒音による睡眠中断を防ぐための建材選定
■温度・湿度コントロール
最適な室内気候を保つための断熱・通風設計
■睡眠中の空気質
CO₂濃度や空気の流れに配慮した換気システム

これらはすべて、ブレインスリープが培ってきた睡眠科学と住宅設計の融合によって導き出されたものであり、睡眠の質を高める「住まいの性能」が、これからの住環境の価値基準となることを提示している。

住宅が「睡眠の質」を担保する時代へ。

不動産業界ではこれまで、住宅の価値は立地・間取り・デザイン・設備といった“機能性”や“利便性”に重点が置かれてきた。しかし、コロナ禍を経て「住まい=生活の質」と捉える価値観が拡がる中、心身の健康と直結する“睡眠の質”を住環境で担保するという視点が注目されている。
「ブランズ巣鴨三丁目」のようなスリープテックレジデンスはまさにその先駆けであり、睡眠を通じたウェルビーイング向上に貢献する住宅のプロトタイプといえるだろう。
日本の夏は年々厳しさを増し、熱帯夜の頻度も上昇傾向にある。今後、快眠のために冷房の設定温度や寝具の素材だけでなく、住宅の設計や空間そのものに目を向ける必要があるだろう。「どう眠るか」ではなく、「どこで眠るか」が問われる時代が、すでに始まっている。

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