★ここが重要!

★要点
東京食肉市場の仲卸・オーエムアイが、和牛・国産牛100%の端材を活用したD2C「モッタイナイビーフ」から新作「国産牛 とろける旨みコンビーフ」を発売。ホテル級の目利き×アップサイクルで、解凍だけの“おうちバル”を実装。
★背景
日本のフードロスは年間523万トン、その約半分の279万トンが事業系(農水省・令和3年度推計)。形・規格で価値がこぼれる現場を、加工・設計・販売の再編で食の循環へつなぐ転換点。

廃棄の手前に、まだ美味しさがある。食肉の現場で生まれる端材や規格外を、オーエムアイは「モッタイナイビーフ」と名付け、プロ品質のまま家庭へ届ける道を開いた。新作は「とろける旨みコンビーフ」。ブランド和牛を含む国産牛100%、添加物に頼らず旨みを凝縮。パックを解凍するだけで、時間をかけずに一皿が整う。フードロスの圧縮と“うまい時間”の最大化——その両立である。

端材を“ごちそう”へ——プロの目利きが値づけをやり直す。

オーエムアイは日本最大の東京食肉市場で枝肉から仕入れ、ホテルや宮内庁にも卸してきた仲卸だ。高品質でも、形を整える加工工程で端材は生じる。規格から零れ落ちる度に、価値は見えなくなる。ここを反転させたのが「モッタイナイビーフ」である。ブランド和牛を含む国産牛100%のみを選別し、端材の“理由”をレシピで解く。脂と赤身の配合、ほぐれ方、塩の当て方。プロの設計で“欠点”を個性に変える。結果、生まれたのが“解凍してすぐ主役”のコンビーフだ。

モッタイナイビーフ

“解凍=完成”のタイパ設計——家庭に宿るレストラン級の一手。

開封して解凍するだけで皿が決まる。忙しい平日に、週末の一品に、ワインや日本酒の脇役にも収まる。まずはそのまま。次にブルスケッタ、マッシュポテト、ホットサンド——アレンジの自由度が高い。鍵は添加物に寄らない旨み設計だ。脂の甘さと繊維の“ほろり”が、塩味の輪郭で収束する。250gで2,480円。冷凍で6か月、家庭の在庫にもやさしい。タイムパフォーマンスと味のリターン、その均衡を狙った一皿である。

数字で読むインパクト——事業系フードロス279万トンの現実。

日本のフードロスは年間523万トン、そのうち事業系が279万トン。加工・流通・外食・小売の現場でこぼれる(農林水産省、令和3年度推計)。牛肉も例外ではない。部位の偏在、規格の硬直、売場の都合。採れた旨みが“売れる形”と一致しないだけで、価値は失われる。アップサイクルはここを縫い直す手段だ。原料の目利き、加工の再設計、販売チャネルの最適化。三点を束にすれば、ロスは“商品”へ戻る。モッタイナイビーフは、仲卸というサプライチェーンの中腹から、その縫い直しを具体化している。

アップサイクルの要諦——設計・衛生・物語。

“もったいない”を食卓に届けるには三つの要がいる。第一に設計。端材の形状・脂の分布・挽きの粗さで食感と旨みを同期させる。第二に衛生。冷凍・解凍プロセス、異物混入・温度履歴の管理は、工場の規律で担保する。第三に物語。なぜこの商品が生まれ、誰の手で整えられ、どんな食べ方が合うのか。レシピと共に背景をセットで伝えると、選択が習慣になる。価値の再定義は、仕様書とストーリーの両輪で走る。

買い方の実務——“日常の贅沢”を在庫する。

公式オンラインストアで発売開始は2025年9月25日。内容量250g、冷凍−18℃以下で6か月。まずは“定番の一皿”として冷凍庫に常備し、週1の“おうちバル”を設計してみるといい。ブルスケッタはバゲット、クリームチーズ、胡椒で即完成。マッシュポテトは牛乳とバターで滑らかにして混ぜるだけ。ホットサンドは玉ねぎの甘みでコクが伸びる。食費の“山”ではなく、日常の“丘”を増やす。そんな買い方が似合う。

それでも残る課題——規格と評価軸の更新。

アップサイクルは万能ではない。規格の見直し、賞味期限表示、栄養・環境情報の“見える化”は、業界横断の課題だ。評価軸が「見た目の均一」から「おいしさ×衛生×循環性」へ移るほど、端材の価値は拾い直せる。メーカーは歩留まりと表示、流通は温度管理と説明、消費者は保存と使い切り。三者の実務がそろう時、フードロスは“縮む”。今回の一品は、その方向を示す具体例である。

商品情報:
「モッタイナイビーフ 国産牛 とろける旨みコンビーフ」/発売:2025年9月25日(木)/価格:2,480円(税込)/内容量:250g/保存:冷凍(−18℃以下)/賞味期限:製造から6か月。
販売:公式オンラインショップ(https://omi.shopselect.net/items/118969235

ブランド・情報:モッタイナイビーフ(https://www.omibeef.co.jp/mottainaibeef/

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