岐阜県土岐市を拠点とする株式会社ケーアイが、持続可能な未来に向けた新たな試み「ReWork」プロジェクトを開始した。このプロジェクトの第一弾として、リサイクル磁器を使用した「ORIGAMI ReWork Dripper」を2025年1月31日に発売する。コーヒー豆の供給問題と美濃焼資源の枯渇という二重の課題に挑む同社の取り組みは、持続可能なものづくりへの道筋を示している。

「コーヒー2050年問題」と再生磁器

「コーヒー2050年問題」とは、世界のコーヒー豆生産量の約6割を占めるアラビカ種が、気候変動の影響で2050年までに栽培適地を半減させる可能性を指す深刻な問題だ。この問題に直面し、ORIGAMIブランドを展開するケーアイは、コーヒー文化の持続可能性を探るための行動を開始した。
同時に、同社は美濃焼の発展と共に歩んできた土岐市の資源問題にも向き合う。美濃焼に使用される鉱山資源は枯渇が進み、将来的な素材供給が危惧されている。そこでこの課題を解決する一助として生まれたのが、「ReWork」プロジェクトなのだ。
「ReWork」プロジェクトの第一弾製品である「ORIGAMI ReWork Dripper」は、既存のORIGAMIドリッパーの形状を継承しながら、製造過程で粉砕したリサイクル磁器を20%使用した点が大きな特徴だ。この素材を練り込んだ土を焼き上げたことで、焼き物特有のテクスチャを持つマットな質感が生まれた。また、釉薬を施さないことで「ゆらぎ」のある独特の表情を演出している。

機能面では、従来のORIGAMIドリッパーと同様、20本のリブがペーパーとの間に空間を作り出し、多彩な抽出を可能にしている。これにより、リサイクル素材を用いながらも性能面での妥協を許さないデザインが実現された。

未来のコーヒー文化と地域資源をつなぐ

「ReWork」プロジェクトは、資源の再生可能性を追求するだけでなく、製品を通じてその背景や価値をユーザーに伝えることを目指している。ケーアイは、コーヒー器具メーカーとして、日常に溶け込む製品に環境問題の重要性を織り込むことで、ユーザーが環境負担を意識するきっかけを提供する役割を担いたいと考えている。

ケーアイが目指すのは、コーヒー文化と地域資源を持続可能な形で結びつけること。「ORIGAMI ReWork Dripper」はその象徴ともいえる製品であり、美濃焼文化を未来につなぐ一歩でもある。つまり「ReWork」プロジェクトは、ただの製品開発にとどまらず、資源の枯渇や気候変動といった地球規模の課題に向き合う挑戦でもあるわけだ。
コーヒーを愛する人々に寄り添いながら進められる、環境に配慮したプロダクトの開発。このドリッパーを手にしたユーザーが、その背景にある物語を感じ取ることで、持続可能な未来に思いを馳せてくれることを期待したい。

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