江戸切子協同組合(江東区大島、代表理事:篠崎英明)は、7月5日を「江戸切子の日」として制定し、今年はその190周年を迎える。江戸切子の歴史と現在の取り組みについて紹介する。
江戸切子の今
江戸切子の記念日である7月5日は、「魚子(ななこ)」と呼ばれる文様に由来する。魚の卵を模したこの文様は、職人の技量が試される難しいカットパターンである。「7」と「5」の語呂合わせから7月5日を記念日とし、職人技の思いと江戸切子の魅力を広く伝えることを目的としている。
江戸切子の始まりは、江戸時代後期の天保5年(1834年)、江戸大伝馬町のビードロ屋加賀屋久兵衛がガラスの表面に細工を施したことに遡る。今年はその190周年にあたる年であり、江戸切子の伝統が受け継がれてきたことを祝う。
東京都と米国アカデミー賞公認の国際短編映画祭「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア」によるサステナブル・リカバリープロジェクト特別製作作品として、江戸切子工房が舞台のショートフィルム『紋の光』(監督:安井祥二)が制作された。作品はYouTubeで配信され、江戸切子の魅力が世界に発信されている。
銀座で開催された「江戸切子新作展」では、新作作品コンテストの発表や販売・体験イベントが行われ、約4000人が来場。藤巻百貨店との協力により、イベント後もインターネット通販で若手職人の作品を販売する機会を提供している。ネットとリアルを組み合わせた商工・伝統工芸の連携が進んでいる。
今年の新作展では、女性職人が初めて第1位を受賞。江戸切子の職人は約100人弱、そのうち女性の割合は約2割と年々増加している。女性も活躍する工房では、ライフスタイルに合わせた働き方が取り入れられ、多様な人材が活躍している。
江戸切子の産地は東京都江東区が中心だが、近年は埼玉県草加市や越谷市でも発展が見られる。草加市のミツワ硝子工芸は新作展で連続受賞を果たし、デザイン性のある商品を全国に展開。越谷市には新たに切子工房石塚が開業し、伝統工芸士の石塚春樹が活躍している。
江戸切子の日を記念し、7月5日から公式ショールームで特別セールと抽選会が開催される。江戸切子の魅力をより多くの人に知ってもらうための取り組みが行われる。