日本のマンション業界に新たな変革が訪れている。一般社団法人マンション管理業協会が主導する「マンション管理適正評価制度」が広まりつつあるのだ。2024年7月末には登録件数が5,000件に達した。
マンション管理の見える化の重要性
マンション管理適正評価制度は、マンションの管理状態や管理組合運営を6段階で評価するもので、管理の透明性を高めることを目的として2022年にスタートし、開始から2年で登録件数が5,000件に達した。不動産流通各社や金融機関とも提携を進めており、評価制度登録により適正に管理されたマンションが市場で好まれる傾向も生まれてきた。中古売買時の価格プレミアム化や、個人向け住宅ローンの金利優遇条件の対象に追加されるなどのメリットも生まれている。
一方で2024年7月31日、マンション管理業協会は「マンションの適正な管理を確保するための方策に関する要望書」を斉藤国土交通大臣宛に提出した。この要望書では、「管理の見える化」の重要性が強調されている。具体的には、マンションの長寿命化促進と管理の見える化を推進するための施策が提案された。
要望書には、以下の支援措置や法制度の見直しが提案されている。
1.マンション長寿命化促進税制の延長・拡充
2025年3月31日までの時限措置である「マンション長寿命化工事促進税制」の適用期限延長と適用要件の緩和。
2.マンション管理適正評価に係る支援措置
管理適正評価制度で、一定水準の評価を受けたマンションについて「マンションすまい・る債」の利率上乗せと、「フラット35(維持保全型)」の金利引下げメニューの追加。
3.マンション管理業者の創意工夫を活用したマンション法の見直し
「外部管理者方式」の法制化を検討する際に、マンション管理業者の意見交換を実施し、管理現場の実情に即した制度作りの要望。
マンション管理適正評価制度は、マンション管理の新たな標準を確立しようとするもので、この制度を通じて、マンション管理の透明性が高まり、良質な管理が一般化することで、マンション市場全体の信頼性が向上する。長期にわたる良質な管理状態は、マンションの資産価値を守ることに繋がり、居住者だけでなく、マンションを取り巻くすべての人々にメリットをもたらす。金利優遇や法制などで、さらにこの制度が普及し、適切に活用されることで、マンション業界全体の質の向上が期待される。
「マンション管理適正評価制度 登録件数5,000件に到達」についてのリリースはこちら