
★要点
花粉症対策薬「アレジオン」を展開するエスエス製薬株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:ニクヒレッシュ・カルラ)が、EarthRing(株式会社大本久盛舘)開発の、伐採した花粉杉を原料にしたピローミスト「NESUGI」を支援。杉を“厄介者”から“資源”へ転換し、睡眠と森林循環を同時に立て直す試みだ。
★背景
日本人の3人に1人が花粉症に悩む時代。高樹齢化した杉林の増加、気候変動による飛散量の変動、人々の睡眠不足傾向の増加。森も医薬品も、構造転換が問われている。
春が来るたび、日本列島は黄色い微粒子に覆われる。くしゃみ、鼻水、浅い眠り。花粉症は季節の風物詩ではなく、社会課題となった。そんな“敵”とされてきた杉を、眠りを支える香りへと変える構想が動き出した。薬で抑えるだけでなく、森そのものを変えるという、循環の発想である。
花粉大国ニッポン――増え続ける杉と止まらぬ症状
戦後の拡大造林で大量に植えられた杉。その多くが樹齢20年を超え、花粉飛散量の多い時期に差しかかっている。気温上昇は雄花の形成を後押しし、飛散シーズンは長期化傾向にある。
厚生労働科学研究でも、アレルギー性鼻炎が生活の質に与える影響は小さくないと報告されてきた。集中力の低下、睡眠不足、医療費の増加。経済損失は数千億円規模とも推計される。
対症療法は進化した。第2世代抗ヒスタミン薬を配合した「アレジオン20」などがその代表例だ。しかし、症状を抑えるだけでは根は絶てない。森の構造そのものに手を入れる必要がある。
“伐って、使う”という解決策――NESUGIの循環モデル
今回、エスエス製薬のアレルギー専用鼻炎薬ブランド「アレジオン」が支援を表明したのは、花粉杉を原料にしたピローミスト「NESUGI」。開発を担うのは石川県白山麓で循環型の香りづくりを行っているEarthRingだ。
発想は単純で大胆だ。花粉を多く出す杉を伐採し、その枝葉から精油を抽出。寝る前に枕へ吹きかけるミストとして再生する。花粉の元凶を、安眠の香りへ。敵を味方に変える転換思考だ。
杉の学名はCryptomeria japonicaと言い、「隠れた日本の財産」という意味を持つ。これまで厄介者扱いだった杉を、“隠れた資産”として捉え直す視点だ。
商品名の「NESUGI」には、“寝すぎるほど心地よく”という願いが込められる。ボトルを横にすると「N」が「Zzz」に見える遊び心もある。だが本質はデザインではなく、伐採需要を生み、植え替えを後押しする経済循環をつくれるかどうかにある。
医薬品企業が森に向き合う意味
アレジオンはこれまでも「花粉の少ない未来プロジェクト」を通じ、1箱あたり1円を森づくりに寄付してきた。集まった額と同額を企業が上乗せし、花粉の少ない樹種への植え替えを進める仕組みだ。
医薬品企業が森林再生を語る。一見遠い分野に見えるが、供給網の安定、気候リスク、ESG投資の拡大を考えれば自然な流れだろう。世界的に企業は“治す”だけでなく“防ぐ”責任を問われ始めている。
気候変動は花粉飛散量にも影響を及ぼす。森林管理の遅れは土砂災害リスクを高める。健康と環境は切り離せない。医薬と林業が交差する地点に、今回のプロジェクトは立っている。
睡眠という未開拓のフロンティア
実は花粉症患者の多くが、睡眠の質にも課題を抱えている。鼻づまりは深い眠りを妨げ、慢性的な疲労を生んでしまう。
NESUGIは医薬品ではない。だが、香りによるリラクゼーションで入眠環境を整える補助線にはなり得る。薬で症状を抑え、香りで休息を整える。点と点を線で結ぶ発想だ。
2026年2月27日(金)より「クラウドファンディングサイト Makuake」で応援購入が始まった。市場がどう評価するかは未知数だが、共感消費が広がる今、単なる雑貨では終わらない可能性を秘めている。
森を変えるのは“一滴”かもしれない
日本の杉林は国土の約12%を占める。すべてを一度に更新することはできない。だが、価値の再定義が進めば、伐採はコストではなく投資に変わる。
花粉杉を減らすには、切る理由と使う先が必要だ。NESUGIはその一例にすぎない。しかし、商品という具体物を通じて森と生活者を結び直す点に意義がある。
花粉症は毎年繰り返す。だからこそ、毎年少しずつ森を変える仕組みが要る。薬棚の隣に、森の未来が置かれる時代。
眠りの前にひと吹き。その一滴が、日本の森を更新する呼び水になるかもしれない。
「NESUGI」製品概要
商品名 :NESUGI
内容 :ピローミスト
使用用途:就寝前に枕やシーツなどの寝具に吹きかけて使用
定価 :5,500円(税込)
内容量 :50ml
原産国 :日本
購入ページURL:https://www.makuake.com/project/alesion_nesugi/
あわせて読みたい記事

都市の老齢樹木を“資源”へ、「伐って終わり」にしないアップサイクルの新提案。

【廃棄伐採木の活用】伐採木を建築や家具に活かす、森未来の建築・空間デザイン新サービス「TREE BATON」。

人工光と自然光のハイブリッド型苗木生産システムによるカラマツの苗木生産を大林組が開始
