住友林業は、「PRIME AIR オリジナル全館空調システム」を開発し、5月9日に販売を開始した。1台のルームエアコンと調湿機能付き換気装置の組み合わせによって、玄関や洗面脱衣室を含む家全体の空調を可能にしたもので、快適な住空間の提供と省エネを両立する新たな住宅設備として注目されている。

空調・換気・調湿を一体化し、室温と湿度を各部屋で最適化する。
住友林業の新たな全館空調システムは、家庭用の18畳用ルームエアコン1台を基幹設備とし、家全体の冷暖房を担う。さらに、熱交換機能を備えた換気装置が外気の加湿・除湿を行いながら各部屋に送風する。換気と同時に湿度をコントロールすることが可能で、梅雨や冬季など湿度変動の激しい時期にも快適性を維持できる点が特徴となっている。
この換気装置には、デシカント素材を利用した無給水型の加湿・除湿機構が搭載されており、フィルターによって花粉やPM2.5の除去にも対応する。快適な空気環境に加え、健康面での配慮も施された構成となっている。
システムにはVAV(可変風量制御)機能が組み込まれており、部屋ごとに5段階で風量を調整できる。これにより、就寝中は風量を抑えたり、使用していない部屋は送風を抑制したりすることで、省エネ効果が高まる。使用者の生活スタイルに合わせて、柔軟に空調環境を設計できる点も利点とされている。
「PRIME AIR」は、従来の同社製全館空調システムに比べて約2割、初期費用を削減。電気料金も、一般的な全館空調システムと比べて約4割の削減が可能とされる。個別のルームエアコンが不要となりメンテナンスの負担も軽減され、建物の外観設計にも自由度が生まれるという。

脱炭素時代の多様なライフスタイルに対応する、新しい空調のかたち。
近年、ランドリースペースやテレワークスペースなど、非居室空間での滞在時間が増加している。こうした空間には個別空調の導入が難しい場合も多く、家全体を1台で制御できる空調システムへの需要が高まっていた。
「PRIME AIR」は、そうしたニーズに応える製品として開発された。温度と湿度を同時にコントロールし、仕切りの少ないオープンな間取りにも対応するなど、現代的な住まい方に対応した空調システムとしての機能を備えている。
住友林業は、森林経営から建築、不動産、再生可能エネルギーに至るまで「木」を中心とした事業をグローバルに展開。「Mission TREEING 2030」を掲げ、木造建築の普及と森林のCO2吸収量拡大による脱炭素化を推進しており、「PRIME AIR」もその取り組みの一環と位置付けられている。
同社は今後も、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)やLCCM住宅などの導入を進め、暮らしの快適性と環境負荷の低減を両立させる技術の開発と普及に取り組む方針だ。
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