
★要点
株式会社ボーダレス・ジャパン(本社:福岡県福岡市、代表取締役CEO:田口 一成)が運営する革製品ブランド「UNROOF」と株式会社アーバンリサーチ(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長:竹村 圭祐)が展開するサーキュラーエコノミープラットフォーム「commpost(コンポスト)」が協業し、廃棄衣料と革端材をアップサイクルしたカードケースを2025年12月5日(金)に発売開始した。異素材の組み合わせと職人技術により、環境負荷軽減と多様な雇用の創出を同時に実現する。
★背景
ファッション産業における大量廃棄と、社会的な労働参加の障壁。環境と人、それぞれの課題解決に取り組む両社が共鳴し、単なるリサイクルを超えた「美しく、機能的な」アップサイクルプロダクトの市場定着を目指す。
「残り物」には福がある、などという牧歌的な話ではない。アパレルの余剰在庫と、革製品の製造過程で出る端切れ。これらは産業が生み出した“負の遺産”として、長く焼却炉行きを待つ運命にあった。だが、視点を変えればそれは純度の高い資源だといえる。ボーダレス・ジャパンの「UNROOF」とアーバンリサーチの「commpost」。両者が手を組み、廃棄のレッテルを剥がして新たな命を吹き込む。素材と人の価値を再定義していく、新機軸のプロダクトだ。
異端の素材が出会う――衣料と革、廃棄からの帰還
プロジェクトの骨子はシンプルかつ合理的だ。commpostが独自技術で再生した「廃棄衣料由来のフェルト材」と、UNROOFが抱える「イタリア・トスカーナのBadalassi Carlo社『プエブロ』の端材」。本来なら交わることのなかった二つの素材を、一つのカードケースへと昇華させる。
特筆すべきは、その質感の調和だろう。植物タンニン鞣し革「プエブロ」のざらついた和紙のような手触りと、再生ファブリックの独特なシボ感。異素材でありながら、同系色でまとめられたデザインは、アップサイクル製品にありがちな「継ぎ接ぎ感」を払拭し、モダンな工芸品のような佇まいを見せる。
ゴミを減らすために無理をして使うのではない。美しいから選ぶ。その結果として廃棄が減る。デザインが倫理を牽引する、理想的なバランスがここにある。


“天井”を取り払う――つくり手の顔が見える循環
UNROOFの掲げる「社会の天井をなくす」というミッションは、この製品に奥行きを与えている。製造を担うのは、障害者手帳を持つ革職人を含む多様なメンバーたちだ。しかし、そこに福祉的な甘えは一切ない。
緻密な蛇腹構造、コバの処理、ステッチの運び。プロフェッショナルとして技術を磨いた彼らの手仕事が、再生素材を堅牢な実用品へと仕上げていく。
commpostが目指す資源循環と、UNROOFが目指す人の多様性受容。素材のアップサイクルとソーシャルインクルージョンが、一つのプロダクトの中で溶け合う。使う人は、カードケースを開くたびに、環境と社会の双方にポジティブな投票を行うことになる。


ビジネスの道具に“思想”を宿す――日常使いのアップデート
名刺入れは、ビジネスパーソンの顔だ。初対面の相手の前で取り出すその小さな革小物が、大量生産・大量消費の象徴ではなく、循環と共生のストーリーを語るものだとしたら。
機能面でも妥協はない。開くと自然に広がる蛇腹ポケットは、名刺交換の所作をスムーズにする。収納力は25枚。実用性を確保しつつ、素材の背景には重厚なストーリーがある。
これからの豊かさは、新品を消費することだけではない。一度役割を終えたものや、見過ごされていた価値を拾い上げ、編み直すこと。このカードケースは、そんな成熟した時代の「新しい贅沢」をポケットに忍ばせる提案だと言えるだろう。
【施設・店舗情報】
商品名:別注カードケース
発売日:2025年12月5日(金)
価格:4,400円(税込)
取扱店舗:URBAN RESEARCH DOORS 一部店舗(新潟万代ラブラ2店、二子玉川ライズ店 他)
UNROOF公式サイト:https://unroof.jp/
commpost公式サイト:https://www.urban-research.co.jp/special/commpost/
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