高齢化の進展に伴い、近距離の移動手段に対する社会的なニーズが高まっている。こうした中で、WHILL株式会社(東京都品川区)は、歩道を走行可能なスクーター型電動モビリティ「WHILL Model R」を発表した。このモデルは、2025年4月から介護保険の適用対象となり、より多くの高齢者が自立した生活を送るための移動手段として注目されている。

日常の移動に「スマート」と「自由」を。
「WHILL Model R」は、同社のこれまでの技術を結集した最新機種。コンパクトな車体とその場で旋回できる高い操作性を備え、狭い住宅街や室内などでもスムーズに移動できる。また、着脱式バッテリーの採用により、保管や充電の手間が軽減される点も実用性を高めている。すでに介護保険適用となっているモデル「WHILL Model C2」と並び、WHILL社の電動モビリティは「歩行の延長線」に位置づけられる存在となりつつある。
会場全体を移動の可能性で満たしたバリアフリー展。
4月に開催された「バリアフリー2025」(インテックス大阪)では、「WHILL Model R」の実機展示と試乗体験が行われた。ブースでは、Model C2との乗り比べも可能で、来場者が自分に適したモビリティを体感できる機会となった。加えて、会場内ではWHILL社が全国各地の公共施設等で展開している「WHILLモビリティサービス」が導入され、誰でも無料でWHILL製品を借りて会場内を快適に移動できる環境が整えられた。
移動支援から始まる自立的な生活。
同展では、リハビリ従事者や福祉関係者を対象としたセミナーも実施された。テーマは「自分らしく自立的な生活を送るための地域リハビリとは」。登壇者には、地域連携や移動支援に関わる河村由実子氏を迎え、各地の実践事例とともに、移動がもたらす社会参加の可能性が語られた。WHILL社からも「移動とリハビリの分離」という新たな視点が提示され、従来のリハビリテーションの枠を超えた、生活そのものに根ざした移動支援の意義が共有された。
「つながる」ことから始まる未来。
WHILL社が掲げる今回のコンセプトは「ウィルでつながろう」。人や地域とのつながりが希薄になりがちな現代において、移動の自由は単なる手段にとどまらず、地域社会との関係性を築き直す手がかりとなる。同社は今後も、高齢者をはじめとする多様な人々の移動を支えるプラットフォームの構築を進め、誰もが健やかに暮らせる未来像の実現を目指すとしている。

