★ここが重要!

★要点
老朽化したインフラの傷は、目に見えない場所にもある。土の下の下水道管、コンクリートの奥の鉄筋、まちの水道を支える送水トンネル。
東北大学は、下水に含まれる細菌の環境DNAなどから下水道管の腐食リスクを予測する方法を開発した。大学の発表によると、既存の点検データを使った検証で、高リスクと予測した管路の中に、重度腐食46箇所のうち41箇所(約89%)が含まれていた。実際の点検を不要にするのではなく、優先順位をつけるための研究だ。
写真から現場の見た目を3次元で再現する「3Dガウシアン・スプラッティング(3DGS)」の技術は、国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)に登録された。東北大学と東北大学発ベンチャーのXMATは、3DGS技術として全国で初めての登録だと発表している。神戸市では、1964年から使われてきた送水トンネルの中に新しい鋼管を通す更生工事の受注が発表された。
一方、自治体の下水道職員108人を対象にした企業のインターネット調査では、点検で「要修繕」とされたのに修繕に着手できなかった、または大幅に先送りした経験がある回答者は71.3%だった。見つける技術とともに問われているのは、見つけた後に直す力だ。

★背景
2025年1月、埼玉県八潮市で下水道管の破損による大規模な道路陥没が起き、地下のインフラの老朽化が一気に社会の関心事になった。
日本の道路橋は約73万橋。法政大学などの発表が引用する2026年3月31日時点の道路メンテナンス年報では、そのうち建設後50年以上の橋は約24万橋とされる。ただし、年数だけで個々の橋の危険性は決まらない。下水道管、水道管、トンネル、浄水場も、状態と重要度に応じた点検・修繕・更新が必要になる。
しかし、点検する人も、予算も足りない。すべてを同じ頻度で点検し、すべてを一度に直すことはできない。
どこが危ないのかを早く、安く、正確に見つけ、限られた人と予算を、本当に直すべき場所へ向ける。インフラのメンテナンスは、「見つける技術」と「直す仕組み」の両方を問われている。

下水道管の中で、コンクリートを溶かしているのは何か。
答えの一つは、目に見えない細菌だ。
下水中の酸素が乏しい場所で硫酸塩還元細菌が硫化水素をつくり、それが気化して、管の上部の湿った壁で別の細菌(硫黄酸化細菌)の働きにより硫酸に変わる。硫酸はコンクリートを侵食する。腐食が進むと管の破損を招き、道路の陥没につながることがある。
その細菌の“気配”を、下水そのものから読み取れないか。東北大学の研究チームが試みたのは、マンホールから汲んだ水に含まれる細菌のDNAで、まだ点検していない管の危険度を推定する方法だった。
下水のDNA、写真から生まれる3D、鉄筋の揺れを測るレーダ。
インフラの“見えない傷”を見つけるための道具箱が、少しずつ充実してきている。

下水のDNAから、腐食しやすい管を予測する

10月1日、東北大学大学院工学研究科の佐野大輔教授らの研究チームは、下水中の環境DNAと生態学、機械学習を組み合わせ、老朽化した下水道管の腐食リスクを予測する方法を発表した。
環境DNAとは、水や土などの環境中から得られる生物由来のDNAのことだ。研究チームは、ある自治体のマンホール40か所から下水を採り、硫化水素の生成に関わる硫酸塩還元細菌のDNAなどを調べた。ただし、硫化水素が生まれる場所と実際に管が腐食する場所は一致するとは限らず、DNAの濃度も排水量や流速に左右される。採水した地点のDNAだけで、腐食の有無を直接判定するわけではない。
次に、生き物の分布を推定する生態学の手法「種分布モデリング」を応用し、採水していない区間も含めて、下水道網全体でこの細菌がすみやすい場所を推定した。
そのうえで、管の古さ、太さ、傾きといった情報と組み合わせ、機械学習で腐食のリスクを予測した。予測に効いた要素は、1位が管の古さ、次が細菌の一種のすみやすさだった。
大学の発表によると、自治体の既存のカメラ点検データを使った検証で、高リスクと予測して優先点検対象に選んだ管路の中に、重度腐食46箇所のうち41箇所、約89%が含まれていた。実際に新たな点検で41箇所を発見したという意味ではなく、過去の記録との照合による評価である。また、この選び方では捉えられなかった重度腐食箇所もあった。
すべての管を順番にカメラで調べるのではなく、危ない可能性が高い管から先に調べる。点検の「順番」を賢くする技術である。
成果は、学術誌『Journal of Environmental Management』に掲載された。
ただし、これは既存の点検記録を使って予測を検証した研究段階の成果だ。研究チームは今後、ほかの都市への展開を進めるとしている。実際の点検の手間や費用をどれだけ減らせるかは、今後の運用の中で確かめることになる。


下水モニタリングと種分布モデリングを組み合わせた、下水道管路の腐食予測の流れ。(出典:東北大学)

写真だけで、現場を「歩ける3D」にする

点検の現場で、もう一つ変わりつつあるのが「記録の仕方」だ。
10月6日、東北大学未来科学技術共同研究センター(NICHe)と、東北大学発ベンチャーの株式会社XMAT(仙台市)は、3Dガウシアン・スプラッティング(3DGS)による高精細3Dモデル生成技術が、国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)に登録されたと発表した。3DGS技術としては、全国で初めての登録だという。
NETISは、公共工事に役立つ新しい技術の情報を国が集め、発注者や施工者が活用を検討するためのデータベースだ。登録そのものが、国による技術の認証や性能の保証を意味するわけではない。
3DGSは、たくさんの写真から、視点によって変わる見え方も含めて現場を3次元で再現する技術である。レーザースキャナーで取得した大量の点のデータ「点群」とは、空間の表現方法が異なる。
XMATの技術は、市販の360度カメラや一般的なカメラ、ドローンの画像から3Dモデルをつくる。大学などの発表では、高密度の点群に比べてデータを軽量化でき、一般的なノートパソコンでも閲覧できるとしている。発表資料によると、実寸に合わせるには、寸法がわかっている基準用の治具を空間に置き、それを基準にスケールを整える。
写真から生まれた仮想空間を、画面の中で歩き回るように確かめられる。
想定する用途は、橋やトンネル、配管や機器が入り組んだプラントの点検、補修の設計、施工の計画や管理、維持管理、さらに防災教育まで幅広い。
現場に何度も足を運ばなくても、事務所で見た目の状態を共有できる。過去の3Dモデルと見比べれば、変化に気づくきっかけにもなる。ただし、見た目を精細に再現することと、ひび幅や変位を必要な精度で測ることは同じではない。点検目的に応じた精度の確認や、ほかの計測との組み合わせが要る。写真に写らない内部の損傷を、それだけで診断する道具でもない。

点群(左)と3DGS(右)による3Dモデルのイメージ比較。(出典:東北大学)

コンクリートの奥の鉄筋を、揺らして診る

橋や擁壁のコンクリートの中には、鉄筋が通っている。その鉄筋がさびると、体積がふくらみ、コンクリートを内側から割っていく。
表面にひびが出たときには、すでに劣化が進んでいることも多い。
群馬大学の「加振レーダ」技術は、電磁石の力でコンクリートの中の鉄筋をごくわずかに振動させ、その動きをドップラーレーダで測る。鉄筋に直接触れずに揺れ方を読み取り、その違いから腐食状態を診断し、「鉄筋健全度マップ」として可視化することをめざす。
9月17日、カワナベ工業を代表とし、群馬大学、アイ・ロボティクスが参加する取り組みが、群馬県の「ぐんま未来共創トライアル補助金」に採択されたと発表された。
この技術を壁面ロボットやドローンに載せ、足場や高所作業車への依存を減らした点検をめざす。ただし、発表によると、装置は構造物の表面に安定して接触させながら移動・計測するシステムとして開発する。「鉄筋に触れずに測る」ことと、「装置が構造物にまったく触れない」ことは異なる。2026年度に群馬県内の橋梁などで実証し、測定の精度や作業時間、安全性を確かめる計画である。
将来は、擁壁、上下水道施設、高速道路、鉄道、港湾、プラントへの展開も視野に入れている。
この技術は、Maintainable®︎NEWS 10月1日号でも紹介した。測れない劣化は直せない。コンクリートの奥を診る道具が、ロボットとドローンに乗って現場へ向かおうとしている。

加振レーダを壁面ロボットやドローンに搭載する計画のイメージ。鉄筋自体には触れずに計測するが、装置は構造物の表面に接触させながら移動・計測する計画。(出典:アイ・ロボティクス)

1964年からの送水トンネルを、内側から更新する

見つけた傷を、どう直すか。
とくに難しいのが、暮らしへの供給を維持しながら更新しなければならないインフラだ。
神戸市の水道を支える基幹送水路「4拡送水トンネル」は、1964年に運用が始まった。本山接合井から再度第3接合井までを結ぶ、まちの大動脈である。
9月17日、JFEエンジニアリングと熊谷組の共同企業体は、神戸市水道局からこのトンネルの更生工事を受注したと発表した。受注額は142億6,800万円(税抜)だ。
工事では、既存の馬蹄形のトンネルの中に、口径2,100mmの新しい鋼管を通していく。総延長は約9.01km、使う鋼材は約6,830トンにのぼる。古いトンネルを壊して新しく掘るのではなく、今ある空間を生かして、中に新しい管を入れる方法だ。
ルートは、五助橋断層と諏訪山断層を横切る。断層の部分には、地盤のずれによる変位を吸収し、管の損傷リスクを抑えるための同社独自の「断層用鋼管」を使う。
9月17日の発表では、同月の契約から2031年2月28日まで、約54か月の工期が予定されている。阪神・淡路大震災を経験したまちで、半世紀以上使ってきた水の道を更新する計画だ。なお、既設トンネルを生かす工法であることと、そのトンネル内で送水を続けたまま施工できることは別である。今回の受注発表だけでは、工事中の送水切り替えや停止の具体的な手順までは確認できない。
新しくつくり直すのではなく、今ある構造を生かして、その内側から強くする。これもまた、インフラを長く使い続けるためのメンテナンスの一つのかたちだ。

4拡送水トンネル(本山接合井〜再度第3接合井)の位置図。(出典:神戸市公式note/JFEエンジニアリング提供)
既設トンネルの中に新しい鋼管を配管する、パイプ・イン・パイプ工法のイメージ。(出典:JFEエンジニアリング)
断層を横切る区間に使う、JFEエンジニアリング独自の断層用鋼管。(出典:JFEエンジニアリング)

見つけても、直せない——修繕先送り71.3%の現実

見つける技術は、確実に進んでいる。
では、見つけた後はどうか。
セイスイ工業が、全国の自治体で下水道事業に携わる職員108人に行ったインターネット調査(2026年6月)では、点検で「要修繕」と判定されたのに、修繕に着手できなかった、または大幅に先送りした経験がある回答者は71.3%だった。これは回答者の割合であり、全国の自治体の71.3%で先送りが起きているという意味ではない。
点検や予防修繕に必要だと考える年間予算の7割未満しか確保できていない、と答えた人も53.7%いた。同社は9月18日、この結果をもとに、修繕を実行する力の強化を求める提言をまとめた。
10月2日には、下水処理場をめぐる調査結果もまとめている。自治体の下水道や施設管理などの部門の担当者100人を対象にした5月の調査では、設備の更新や大規模な修繕のときに「処理を止められない」という制約に直面した、または今後直面すると答えた人が87.0%だった。
下水は、毎日、休みなく流れてくる。更新する設備を停止するには、処理機能を維持するための仮設設備や切り替えなどを準備しなければならない。
いずれも一企業による小規模なインターネット調査であり、全国の自治体の姿をそのまま表す数字ではない。また、87.0%には将来の制約を予想した回答も含まれる。その範囲で、回答した担当者が感じる修繕・更新の難しさを示す資料として受け止めたい。
点検で危ない場所がわかっても、直す予算、人、方法がなければ、傷はそこに残り続ける。
下水の環境DNAによる予測も、写真の3Dも、加振レーダも、点検や情報共有の効率化につながる可能性がある。ただし、導入・運用の費用を含めて何がどれだけ改善するかは、現場で確かめる必要がある。その成果を、修繕の実行へつなげられるかが重要になる。

点検で「要修繕」と判定された箇所の修繕を、着手できなかった、または大幅に先送りした経験についての回答(2026年6月調査、n=108)。(出典:セイスイ工業)

道具箱に加わる、もう少しの道具

この秋には、ほかにもインフラの点検と更新を支える動きが相次いだ。

・点検データをAIの学習用に
法政大学、宇宙サービスイノベーションラボ事業協同組合、パシフィックコンサルタンツは10月6日、橋や下水道などの点検を効率化するAI向けのデータセットづくりで、経済産業省とNEDOの生成AI開発支援事業「GENIAC」に採択されたと発表した。異なる情報をつないでAI開発に使える基盤を整える取り組みであり、全国すべての施設の詳細な点検データがすでに整備されたという意味ではない。
・3Dの「前と後」を自動で比べる
CalTaは10月9日、インフラのデジタルツインのプラットフォーム「TRANCITY Nebula」に、立体のデータを小さな箱(ボクセル)に分け、時期の違う3Dデータの差を検知する機能などを、10〜11月に段階的に追加すると発表した。10月13日から16日まで幕張メッセで開かれるCEATEC 2026への出展も発表している。
・動かしながら、浄水場を建て替える
愛知県刈谷市では、稼働から約65年たつ水源浄水場を、既存施設の運転を続けながら隣接地に建て替える事業が進む。鹿島建設を代表とし、水道機工などが参加する共同企業体が9月30日に契約を結んだ。計画一日最大処理水量は1万7,800㎥で、2031年4月の運用開始をめざす。
・狭い下水道管を、ドローンが飛ぶ
広島県尾道市上下水道局は、9月1日に西御所町地区で行った調査で、直径1.2m、延長263mの下水道管とマンホールの中を、狭い空間用のドローンと3Dレーザー計測で調べた。NTTインフラネットと九電ドローンサービスが調査に携わった。人が入りにくい管の中を、記録に残す試みだ。
・深海のごみも、AIが探す
海洋研究開発機構(JAMSTEC)は、40年以上蓄積してきた深海映像の解析に向け、ごみを検出するAI「DeepLitterAI」を開発した。日本周辺の深海映像を使った検証では、人が数えたごみの個数に対する誤差が約10%、解析速度は平均2.1倍だったという。インフラの損傷診断とは別分野だが、環境の状態を効率よく記録する道具として、Maintainable®︎NEWS 9月24日号でも紹介している。

見つける道具は、陸の下水道管から、コンクリートの中の鉄筋、そして深海の底まで広がっている。

「見つける」と「直す」をつなぐ

インフラのメンテナンスは、点検、診断、修繕、記録の繰り返しだ。
これまでは、点検に多くの人手と時間がかかり、どこから直すべきかの判断も経験に頼る部分が大きかった。
下水のDNAは、どの管から点検すべきかを教えてくれる。写真の3Dは、現場の状態を記録し、共有する。加振レーダは、表面からは見えない鉄筋の傷みを描き出す。
そして、送水トンネルの更生計画は、今ある構造を生かしながら更新する方法を示している。浄水場の更新には、既存施設を動かしながら別の敷地で新施設をつくる方法もある。施設ごとに、供給を維持する段取りと工法を組み合わせる必要がある。
一方で、自治体の現場では、見つかった傷を直す予算と人が足りていない。
技術がどれほど進んでも、修繕が先送りされ続ければ、インフラの傷は残り続ける。
見つける技術が現場でどれだけ役立つかを確かめ、その成果を直す仕組みへ回す。点検の効率化を、修繕の実行力に変える。
「点検から修理へ」。その橋渡しこそが、これからのインフラのメンテナンスに求められている。

参考:

下水モニタリング×生態学×機械学習:老朽下水道インフラを予防保全(東北大学)
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2026/10/press20261001-05-screening.html

3DGSによる高精細3Dモデル生成技術がNETIS登録(東北大学・XMAT)
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2026/10/press20261006-03-netis.html

NETIS(新技術情報提供システム)公式
https://www.netis.mlit.go.jp/netis/
国土交通省・NETIS制度案内
https://www.thr.mlit.go.jp/tougi/kensetsu/netis/netis.html

レーダーでコンクリート内部の劣化を診断!ドローン・ロボットによる新たな点検手法(アイ・ロボティクスほか)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000074.000022548.html

神戸市水道局より「4拡送水トンネル更生工事」を受注(JFEエンジニアリング)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000191.000061878.html

点検の先で止まる下水道修繕(セイスイ工業)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000062.000058301.html
自治体下水道における点検と修繕のギャップ実態調査(セイスイ工業、2026年6月30日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000056.000058301.html
下水処理場の設備更新は「止めない」を前提に(セイスイ工業)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000063.000058301.html

GENIAC採択(法政大学・宇宙サービスイノベーションラボ事業協同組合・パシフィックコンサルタンツ)
https://digitalpr.jp/r/145211

TRANCITY Nebula 大型アップデート(CalTa)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000043.000143937.html

刈谷市 水源浄水場施設更新設計施工業務委託(水道機工)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000038.000141633.html

尾道市 下水道管路のドローン3D計測(NTTインフラネット)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000190103.html

DeepLitterAI(海洋研究開発機構)
https://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20260903/

FAQ

Q. 下水道管は、なぜ腐食するのですか?
A. 下水の中で硫酸塩還元細菌が硫化水素をつくり、それが管の上部の湿った壁で、硫黄酸化細菌の働きによって硫酸に変わるためである。硫酸がコンクリートを少しずつ溶かし、管の強度が落ちる。腐食が進むと管が破損し、道路の陥没につながることがある。

Q. 環境DNAとは何ですか?
A. 水や土、空気などの環境中から得られる生物由来のDNAのことである。生物を直接捕まえずに、その分布を推定する手がかりになる。ただし、水に運ばれて移動するDNAもあり、検出地点にその生物がいることや、検出されなかった生物がいないことを、その結果だけで断定はできない。今回の研究では、下水中の細菌に関するDNAデータを、管路の情報やモデルと組み合わせている。

Q. 東北大学の方法で、下水道管の点検は不要になるのですか?
A. 不要になるわけではない。この方法は、どの管から優先して点検すべきかを予測し、点検の順番を賢くするためのものである。既存の点検記録を使って精度を確かめた研究段階の成果で、実際の点検や修繕の判断は、カメラ調査などと組み合わせて行う必要がある。

Q. 3Dガウシアン・スプラッティング(3DGS)とは何ですか?
A. 多数の写真から、視点によって変わる見え方も含めて現場を3次元で再現する技術である。今回の技術は市販のカメラやドローンの画像からモデルをつくり、一般的なパソコンでの閲覧を想定する。実寸化には既知寸法の基準物を写すなどの条件があり、精細に見えることが、そのまま必要な計測精度を保証するわけではない。

Q. NETISとは何ですか?
A. 国土交通省の「新技術情報提供システム」のことで、公共工事に役立つ新しい技術の情報を集めて公開するデータベースである。活用を検討する際の参考になるが、登録そのものは国による技術の認証や性能の保証を意味しない。

Q. 加振レーダとはどのような技術ですか?
A. 電磁石でコンクリート内部の鉄筋を微小に振動させ、その動きをドップラーレーダで測る技術である。鉄筋には直接触れないが、今回のロボット・ドローン搭載の計画では、装置を構造物の表面に接触させながら移動・計測する。2026年度に群馬県内の橋梁などで精度や作業性を実証する計画であり、完全非接触で飛行しながら点検できる技術として実用化済みなのではない。

Q. 送水トンネルの中に鋼管を通すと、何がよいのですか?
A. 既設の空間を生かし、その内側に新しい水の通り道を設けて更新できる。神戸市の計画では断層横断部に変位を吸収する断層用鋼管も使う。ただし、工法の適否や負担は現場条件による。既設トンネルを利用することは、同じトンネルで送水を続けながら施工することを意味しない。

Q. なぜ下水道の修繕は先送りされるのですか?
A. セイスイ工業の自治体職員調査では、必要な予算を十分に確保できていないとの回答が多く、下水処理場では処理を止められないことも設備更新の制約として挙げられた。ただし、いずれも一企業による小規模なインターネット調査であり、全国の状況を代表する数字ではない点に注意が必要である。

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