
★要点
「おやさいクレヨン」で知られるmizuiro株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役:木村尚子、以下「mizuiro」)が、規格外野菜や食品加工の副産物を配合した「おやさいねんど®︎」を発売。カゴメ提供のトマト果皮などを活用し、玩具安全基準(ST-2025)にも適合させた、環境と子供に優しい知育玩具の登場。
★背景
世界的な食品ロス問題に対し、ただ「減らす」だけでなく、新たな価値を付与するアップサイクル市場が急拡大――教育と環境配慮を両立させるプロダクトが、次世代の消費基準となりつつある。
「遊ぶこと」と「資源を守ること」は、もはや別の行為ではない。規格外で市場に出回らない野菜や、ジュースを搾ったあとの果皮。これらをゴミ箱行きから救い出し、子供たちの手のひらでこねる「ねんど」へと変える試みが始まった。mizuiroの「おやさいねんど」。それは、色彩感覚を養う画材でありながら、循環型社会への最初の手触りを提供するメディアでもある。
カゴメも参画――産業の“残り物”をクリエイティブの源泉に
プロジェクトの構造は、産業間の連携によって成り立っている。特筆すべきは、大手食品メーカー・カゴメとの協業だ。トマトジュースの製造過程で必然的に出る「果皮」。通常なら廃棄や飼料処理されるこの副産物を、mizuiroは「色材」として再定義した。 配合されるのはトマトだけではない。ほうれんそう、ねぎ、りんご、むらさきいも。形が悪くて売れない規格外品や端材を微粉末化し、パルプ繊維などと混ぜ合わせる。廃棄コストを価値に変え、企業のエコシステムを接続する。小さな粘土の塊には、産業廃棄物を“資源”と読み替えるロジックが詰まっている。

五感で触れるリアリティ――あえて“自然の色”で遊ぶ
ケミカルな原色で溢れる玩具売り場において、このねんどの配色は異質だ。くすんだ緑、淡い赤、土っぽい紫。野菜本来の色味である。素材の匂いや手触りを感じ、乾燥させれば固まって作品として残る。軽くて柔らかい触感は幼児にも扱いやすく、玩具安全基準(ST-2025)にも適合。万が一、口に入れても安全、というだけでなく、「自然界にある色」を学ぶ教材としての機能を持つ。 綺麗に整えられた既製品ではなく、不揃いな自然の恵みから生まれた色。その不均一さこそが、デジタルの画面では得られないリアリティだ。


アップサイクルのパイオニア――“クレヨン”から“素材全般”へ
mizuiroはこれまで「おやさいクレヨン」で、捨てられる野菜のアップサイクルを牽引してきた。今回のねんどは、その延長線上にありながら、より立体的な表現領域への拡張を意味する。
同社が見据えるのは、野菜だけではない。プラスチック、繊維、木材。あらゆる廃棄素材を「新しいプロダクト」へと転換する構想を描く。消費者が「エコだから」と我慢して買うのではなく、「楽しいから」「美しいから」選んだものが、結果として環境負荷を下げている。そんな無理のない循環を、デザインの力で日常に定着させようとしている。
食卓には並ばなかった野菜たちが、子供たちの手によってアートになる。その体験の記憶は、きっとSDGsの教科書よりも深く、次世代の価値観を形成するだろう。
【商品情報】
商品名:おやさいねんど®︎(10色セット)
販売価格:2,000円(税別)
内容色:ほうれんそう、ねぎ、きゃべつ、たまねぎ、パプリカ、にんじん、りんご、トマト、むらさきいも、たけすみ
公式サイト:https://mizuiroinc.com
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