日揮ホールディングス(以下、日揮HD)、コスモ石油、レボインターナショナルの3社が設立した合同会社サファイア スカイ エナジーは、国内初となる国産SAF(持続可能な航空燃料)の大規模製造設備を完成させた。2025年4月からの供給開始を予定している。

国産SAFの供給体制が本格始動—年間3万キロリットルの製造能力を確保
航空業界のCO2排出削減が世界的な課題となる中、国内での持続可能な航空燃料(SAF)の生産・供給体制の確立が求められていた。こうした背景のもと、日揮HD、コスモ石油、レボインターナショナルの3社は、2022年に合同会社サファイア スカイ エナジーを設立。国内でのSAF製造を目指し、事業化を進めてきた。
本事業は、廃食用油を原料としたSAFを製造し、年間約3万キロリットルを航空会社へ供給する計画だ。これにより、SAFのサプライチェーンを国内で完結させる体制が整い、航空業界の環境負荷軽減に向けた大きな一歩となる。
新設された製造設備は、コスモ石油堺製油所内に建設され、2024年12月に完工。2025年4月頃からの供給開始が予定されている。製造されるSAFは、国際的な持続可能性認証「ISCC CORSIA」を取得済みであり、国際基準に適合した高品質な燃料となる。
官民連携でSAF普及を推進。資源循環型社会の実現へ。
本事業の竣工式は2025年3月6日に開催され、日揮HDの佐藤雅之会長CEOをはじめ、コスモエネルギーホールディングスの山田茂社長、レボインターナショナルの越川哲也CEO、サファイア スカイ エナジーの秋鹿正敬代表職務執行者が出席。加えて、経済産業省や国土交通省、堺市長、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)などの関係者も参列し、国産SAFの普及推進に向けた期待を示した。
また、竣工式後には「Fry to Fly Project」の参加メンバーも招待され、竣工祝賀会が開催された。同プロジェクトは、家庭や飲食店などから排出される廃食用油の収集を通じてSAFの認知を拡大し、脱炭素社会の実現を目指す取り組みだ。開始当初は29の企業・自治体が参画していたが、現在では約200の団体へと拡大している。
本事業の成功により、国内でのSAF生産が本格化し、航空業界の環境負荷軽減に大きく寄与することが期待される。今後も官民連携を強化し、持続可能な資源循環型社会の実現に向けた取り組みが加速していくだろう。