九州大学大学院工学研究院の後藤雅宏教授は、2014年よりレアメタルのリサイクル技術開発に取り組んできた。この新技術は、従来の高濃度酸や有害化学物質の使用を避ける「深共晶溶媒」を利用したもので、環境に配慮しながら効率的なレアメタルの回収を可能にするものだ。

酸や有機溶媒を使用しないレアメタルのリサイクルと環境保全

現状のレアメタル回収技術には多くの課題が存在。特に、溶剤の非再利用性や精製工程での効率性の低さが問題点として挙げられる。これらを解決するために開発された環境負荷の少ない「深共晶溶媒」は、高濃度の酸や有害な化学物質を使用せず、繰り返し利用可能で、目的のレアメタルのみを高効率に回収できる特長がある。

資源に乏しい日本において、特にEUではリサイクル金属の使用が義務化されており、SDGsの観点からも環境に配慮したリサイクル技術の開発が求められている。本技術により、リチウムイオンバッテリーや自動車触媒からのレアメタル回収が高効率に行え、さらには天然鉱物からの分離も可能だ。

この新技術はレアメタル以外の金属分離にも応用可能であり、プロセスの簡略化による二酸化炭素排出削減にも貢献。高温、高圧の浸出工程が不要となるため、導入コストの削減にもつながる。持続可能な社会実現への新たなステップとして、広く社会に貢献することが期待される。

独立行政法人 環境再生保全機構

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