北海道美唄市に拠点を置く株式会社ホワイトデータセンターが、「令和五年度 北国の省エネ・新エネ大賞」で優秀賞を受賞。除雪冷熱と再生可能エネルギーを活用した、革新的なデータセンター「美唄ホワイトデータセンター構想」が注目を集める。
雪を活用した世界最高レベルのエネルギー効率
株式会社ホワイトデータセンター(WDC)は、冬の豊富な雪を活用したデータセンター冷却技術で、CO2排出量ゼロを実現。サーバー冷却に最大のコストを要する従来のデータセンターと異なり、雪の冷熱利用によって、エネルギー消費と運用コストの大幅な削減を果たしている。
北国の冬の悩みである除雪問題を逆手に取り、雪山をエネルギー源として活用するWDC。美唄市の公共除雪排雪を受け入れ、雪山を管理下に置くことで、冬場に集めた雪を次の冬まで維持し、雪山の冷熱は、データセンター内のサーバー機器を冷やすために利用される。
WDCのPUE(Power Usage Effectiveness:電力使用効率)値は夏期でも1.04という驚異的な数値を達成。これは、ほとんどの電力をサーバー機器の運用に使用し、余分な電力をほとんど使わないことを意味する。通常のデータセンターよりもはるかに効率的で、100%再生可能エネルギーを使用しても競争力のある価格を実現している。
また雪山は、ホタテの貝殻に再生した水を浸透させるパネルの上に作られ、その下のパイプを流れる不凍液が冷却を担う。このシステムは、ウッドチップで雪山を覆うことにより、保冷効果を高め、夏を越して次の冬まで雪を保持する工夫がなされている。
株式会社ホワイトデータセンターの取り組みは、環境に配慮したデータセンター運用の新たなモデルを提案するものであり、地球環境保護とエネルギー効率の両立を実現している。雪の冷熱を利用することで、省エネルギーと新エネルギーの可能性を世界に示した「美唄ホワイトデータセンター構想」は、これからの北国の冬の利用方法に新たなビジネストレンドを生み出す。