株式会社eロボティクスは、アンリツ株式会社のスペクトラムモニタモジュールMS27100Aを採用した上空の電波環境測定システムを開発した。このシステムは福島ロボットテストフィールドでの実証実験を通じ、ドローンの航行安全性向上に貢献する可能性を示した。今後、有人地帯における安全な目視外飛行(レベル4飛行)の実現に向けた重要なステップとなるだろう。
福島ロボットテストフィールドでの実証実験。
未来のドローン航行技術への期待。
近年、ドローンは空撮、農業、物流、災害対応など多岐にわたる用途で急速に普及している。その一方で、ドローンの安全な航行には電波環境の評価が欠かせない。なぜなら電波干渉や通信途絶は、ドローンの操作性と安全性に深刻な影響を及ぼすからだ。特に、地形や建物の影響を受ける電波環境を正確に把握する技術は、今後の課題として重要視されている
eロボティクスは、この課題に応えるべく、アンリツの小型軽量なスペクトラムモニタモジュールMS27100Aを活用したシステムを開発。GPSと連動した測定データを基に電波状況を地図上に可視化する技術を導入した。このシステムにより、ドローンの航行ルートにおける電波環境の詳細な評価が可能となり、飛行の安全性を大幅に向上させることが期待されている。
福島県南相馬市にあるロボット実証拠点「福島ロボットテストフィールド(RTF)」において、eロボティクスとアンリツは共同で実証実験を行った。この実験では、ドローンにMS27100Aを搭載し、上空の電波状況を実測した。得られたデータは、電波の周波数やレベルの分布を詳細に解析するもので、ドローンの目視外飛行(レベル4飛行)の実現に向けた重要なデータとなった。
今回の取り組みは、電波環境評価技術の進化を象徴するものだ。ドローンの有人地帯における目視外飛行を実現するためには、電波環境の詳細な評価が欠かせない。eロボティクスとアンリツの協力によって、より安全なドローン航行の実現に向けた重要な一歩が踏み出されたといえる。
またこの技術は他の産業分野や災害対応、物流効率化といった新たなユースケースにも対応できる技術として期待され、さらなる応用可能性も秘めている。安全で効率的なドローン運用を支える基盤技術として、電波環境評価の役割はますます重要になるだろう。
アンリツは、この実証実験を技術的にサポートし、ドローンの航行に必要な電波環境の評価基準策定に寄与した。同社は今後も、ドローン技術の発展と安全性向上を支えるため、さらなる技術開発と支援を継続する方針だ。
MS27100Aの詳細はこちら
電波環境(電波の強さ、不要電波、干渉波等)の調査サポート「測るサービス」の詳細はこちら
用語解説
[※] 福島ロボットテストフィールド(RTF)
東日本大震災及び原子力災害によって失われた浜通り地域等の産業を回復するため、新たな産業基盤の構築を目指す「福島イノベーション・コースト構想」に基づき整備された陸・海・空のフィールドロボットの一大開発実証拠点。