神奈川県厚木市を拠点とする”元祖地ビール屋”サンクトガーレン有限会社(代表取締役:岩本伸久)は、茅ヶ崎市のチーズ工房Osteria e Bottega S (代表:澤井博之)と連携し、チーズ製造時に廃棄される副産物“ホエイ”をアップサイクルした新商品「ホエイサワーエール ブルーベリー」を開発した。ビール造りの常識を覆す乳酸菌をあえて活用したこのユニークなビールは、2025年7月17日(木)より限定発売される。

フードロス削減へ貢献する、常識を覆す“乳酸菌”活用ビール。

フードロス削減に向け、様々な業界でアップサイクルの取り組みが注目されている。たとえばチーズ製造の過程では、原料となる牛乳の約1割がチーズになる一方で、残りの9割は「ホエイ(乳清)」として分離される。このホエイにはタンパク質やビタミン、ミネラル、そして乳酸菌といった栄養素が豊富に含まれており、大手工場ではプロテインなどに再利用されるが、大規模な設備を持たない小規模なチーズ工房では活用が難しく、その多くが廃棄されているのが現状だ。
こうした状況に対し、サンクトガーレンは茅ヶ崎市のチーズ工房「Osteria e Bottega S」からの相談をきっかけに、廃棄されるホエイをビールの原料として活用する開発に着手した。しかし、ビール醸造においてホエイに含まれる乳酸菌は、意図しない酸味を生み出し香味を劣化させる「汚染菌」として恐れられており、工場に持ち込むことは通常では考えられない、非常にリスクの高い挑戦だった。
そこで同社は、他のビールへの影響を完全に断つため、このビールの製造日には通常業務をすべて停止。タンクの排気口を密閉し、製造後にはすべての部品を分解洗浄するなど、徹底した衛生管理のもとで醸造を敢行した。
こうして生まれたのが、乳酸菌由来の爽やかな酸味が特徴の「サワーエール」だ。さらにブルーベリーを加えることで、フルーティーな甘みと酸味が調和し、泡まで鮮やかな紫色をした、ジュースのように甘酸っぱい新感覚の味わいを実現。アルコール度数を4.0%に抑え、ビールの苦みが苦手な人でも楽しめる一杯に仕上げた。
サンクトガーレンの革新的な取り組みは、廃棄されていた資源に新たな価値を与えることでフードロス問題に貢献するだけでなく、“乳酸菌”を活用したビールの新たな可能性を切り開くものとして期待されている。

ホエイ引取の様子
タンクの排気口などをフィルムで覆っている様子
サンクトガーレン タップルーム

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