パシフィックコンサルタンツ株式会社が開発した土砂災害情報サービス「どしゃブル®」が、内閣官房発行の「国土強靱化 民間の取組事例集(令和7年4月)」に掲載された。高密度・短時間レーダー雨量「XRAIN」を活用し、土砂災害のリスクをリアルタイムで警告する本アプリは、防災のデジタルトランスフォーメーション(DX)を象徴するツールとして、全国的な注目を集めている。

直感的UIと独自判定で災害リスクを可視化。誰もが使える“防災アプリ”で命を守る。

「河川の増水は目に見えるが、土砂災害の危険は可視化が難しい」。この課題を克服するため、社会インフラ整備のプロフェッショナルであるパシフィックコンサルタンツが開発したのが「どしゃブル®」だ。
このサービスは、国土交通省のリアルタイム雨量観測ネットワーク「XRAIN」のデータを基に、独自の判定手法で危険度を分析。現在地や登録地点において土砂災害のリスクが高まったタイミングでアプリ上にアラートを表示し、行動喚起を促す。アプリのUIには、キャラクターの表情や色使いなどを工夫し、専門知識がなくとも直感的にリスクを理解できるよう設計されている。
アプリの開発はXRAINの運用開始を契機に始まり、被災事例の緻密な検証としきい値のチューニングを経てリリースに至ったという。開発の背景には、「全国どこでも使える、個人に最適化された防災アプリが不足している」という課題意識があったようだ。というのも、従来の防災アプリは地域限定型か、全国対応でも行動につながらない情報提供にとどまっていたからだ。
開発当初はアプリの知見もなく手探りのスタートだったが、7年を経て防災分野での確かな足場を築きつつあり、「どしゃブル®」はユーザー数を着実に伸ばしている。

予測不可能な土砂災害を、誰もが「自分ごと」化できる次世代型防災インフラ。

また「どしゃブル®」は災害時だけでなく、日常のゲリラ豪雨対策などにも活用可能で、買い物や通勤など日々の生活シーンで“雨を避ける”ための実用ツールとしての側面もある。こうした平時からの利用を前提とした設計思想は、いざという時の対応力を高めるうえでも有効だ。
現在、「どしゃブル®」は一般向けのモバイルアプリに加え、製造業・建設業・道路管理者などの法人向けに「どしゃブル®Pro」も展開中で、発電施設や重要インフラの維持管理、鉄塔の巡視といった場面での導入が進んでいる。災害時の企業活動の業務継続計画(BCP)に役立つからだ。
パシフィックコンサルタンツは「どしゃブル®」以外にも、ハザード情報の統合検索サービス「しらベル®」や、「スマート防災ソリューション」など複数の防災支援ツールを展開しており、建設コンサルタントとしての専門性とテクノロジーを融合し、自然災害から命と社会を守るための挑戦を続けている。
災害の激甚化が常態化するなかで、個人の備えにも“精度”と“即応性”が求められている。どしゃブル®は、単なる通知ツールではない。予測不可能な土砂災害に対して、誰もが「自分ごと」として備えられる社会の実現へと導く、次世代型防災インフラだ。

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