理化学研究所と富士通株式会社が共同開発したスーパーコンピュータ「富岳」が、産業応用で重要視される性能指標「HPCGランキング」において10期連続で世界第1位を獲得した。同時に、他のランキングでも高い実績を示し、Society 5.0の実現を支えるHPCインフラとしての地位を改めて証明した。
産業応用での優位性を証明する「富岳」の実力
スーパーコンピュータ「富岳」は、2021年3月から理化学研究所と富士通株式会社が共同運用を開始し、産業応用や社会課題の解決に向けた技術基盤として注目されている。2024年11月時点で「HPCGランキング」において10期連続で世界第1位を獲得し、その性能の高さを改めて示した。
「HPCG」は、実際の産業応用に用いられる計算手法「共役勾配法」の性能を評価するベンチマークで、従来の「TOP500」ランキングでは測りにくい現実的な性能を示す指標として位置付けられる。「富岳」は今回、16.00ペタフロップスのスコアを達成し、第2位の米国「Frontier」に約1.1倍の性能差をつけた。
また、「TOP500」では世界第6位、「HPL-MxP」(旧称HPL-AI)では第4位にランクイン。これらの結果は、AI研究やシミュレーション、データ処理における高い総合性能を示しており、Society 5.0の実現に向けた基盤技術としての役割を果たしていることが改めて示された。
特に「HPCG」での成果は、富岳が産業界での実用性を重視した設計思想に基づくシステムであることを証明しており、今後もその技術進化が期待されるとともに、持続可能な社会の実現に向けた重要な基盤であることが示されたといえるだろう。