今年もグッドデザイン賞が多くの優れたデザインを表彰した。その中から注目を集めた、大和ハウス工業、東急不動産、トヨタ自動車3社の受賞作品を紹介する。地域と共に歩む新しい住宅の形や、環境に配慮したモノづくりの先端技術が評価された。
①地域再生の象徴として選出された大和ハウス工業の「黒鶴稲荷神社+アズハイム大田中央」
大和ハウス工業が手掛けた「黒鶴稲荷神社+アズハイム大田中央」は、神社と老人ホームが一体となった独自の都市再生プロジェクトだ。このプロジェクトは、大田区初のレッドゾーン解除を実現し、地域住民との交流を重視した設計で「2024年度グッドデザイン・ベスト100」に選ばれた。特に、敷地境界を設けず、神社と老人ホームが共に利用できる「お祭り広場」を中心としたデザインが高く評価された。これにより、神社の伝統行事が老人ホームの住民にも共有され、地域とのつながりが生まれる空間が実現している。
本プロジェクトは、地域住民と事業者が協力し、神社の再建と老人ホームの開発を同時に進めた稀有な例だ。境内に残されたご神木や大谷石の再利用など、地域の歴史を尊重した設計も大きな特徴である。このような地域密着型のプロジェクトは、今後の都市開発における重要なモデルケースとなるだろう。
②都市の緑化と生物多様性を推進する東急不動産の「GREEN AGENDA for BRANZ」
東急不動産による「GREEN AGENDA for BRANZ」は、生物多様性を保全するための新たな景観管理計画として注目されている。このプロジェクトは、分譲マンションにおいて竣工後10年間にわたる緑地管理を行い、住民が自ら環境保護に関与する仕組みを作り上げた。2024年度グッドデザイン・ベスト100に選定され、その取り組みは、持続可能な都市緑化の新たな基準として高く評価されている。住民が緑地の維持に直接関与することで、環境意識が向上し、都市部の生態系保全に貢献する仕組みが生まれている。
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③「捨てないモノづくり」を掲げるトヨタ自動車の「Geological Design」
トヨタ自動車の「Geological Design」は、地球環境を考慮した「資源の完全循環」をテーマにした革新的なプロジェクトだ。クルマの製造過程から廃棄までの一連の流れを再考し、素材選びからアップサイクルまでを含む持続可能な設計が評価され、2024年度グッドデザイン・ベスト100に選出された。このプロジェクトは、自動車業界を超え、地域の工芸家やアーティストと協力し、廃材を活用した「次の命づくり」に取り組んでいる点でも注目されている。
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