ミーク株式会社は、IoTデバイスの稼働状況をリアルタイムで監視し、異常を即時に通知する「MEEQ APPS」の提供を開始した。大手小売チェーン・ファミリーマートとの店舗向け実証実績をベースに汎用化された本サービスは、製造業や物流業をはじめ、さまざまな業種での導入が見込まれている。SIM通信を介したNoCode型のIoT監視ソリューションとして、その柔軟性と拡張性に注目が集まっている。


ファミリーマート実証から汎用化へ。“稼働を見守る”新たなIoT通信インフラ。
「MEEQ APPS」は、ミークが提供するIoT/DXプラットフォーム「MEEQ」の新たなサービスカテゴリーとして生まれた。ファミリーマートと共同で進めていたCO₂換気制御機器の遠隔監視機能を基に、業界汎用化を進めた形である。
同機能は、IoTデバイスから送信されるデータを「MEEQデータプラットフォーム」に蓄積・解析し、稼働状況を可視化する。たとえば、換気装置の作動状況を確認しながら、過剰換気を抑制することで空調負荷を軽減。ファミリーマートでは実際に電力使用量の約2%の削減効果が見込まれており、店舗運営の省エネ対策として成果を挙げている。
この実績を基にミークは、監視対象を小売以外の業種にも拡張可能な共通機能として再設計。IoTデバイスの死活監視と閾値超過の通知機能を組み合わせた「MEEQ APPS」を正式にリリースした。
デバイスの“異変”を見逃さない。通知数無制限のヘルスチェック機能とは?
「MEEQ APPS」の中核機能は「データモニタリング」と「デバイスヘルスチェック」の2つである。前者は、センサーから送られるデータがあらかじめ設定された条件に一致した場合に通知を行う仕組み。たとえば温度や電力消費量などが設定した閾値を超えた瞬間に、リアルタイムで異常を検知できる。
一方、後者は、センサーからのデータアップロードが一定時間停止した場合に異常と判断し通知を発する。いわば“デバイスの沈黙”を検知する機能であり、見落とされがちなトラブルもカバーする。
従来のIoT遠隔監視システムでは、通知回数に制限があるケースが多く、大量の通知には対応しきれないという課題があった。しかし、「MEEQ APPS」では通知数に上限を設けず、任意の頻度でアラートを発信できる。メールやWebhookによる通知に対応しており、外部システムとの連携も容易だ。
製造現場でも力を発揮。“止まらない現場”を支えるインフラへ。
実際のユースケースとしては、製造業における生産設備の状態監視が挙げられる。生産ライン上の設備が異常な温度を示した場合や、センサー値が品質基準を超えた場合など、即時通知により人手による巡回や目視点検に代わる仕組みとして機能する。
さらに、デバイスが一定時間データを送信しない場合には、通信断や機器トラブルを疑うべきサインとして即座に報告される。こうした“予兆保全”への応用も視野に入れたシステム設計となっており、実装もノーコードで完結できる点は、ITリソースの限られた中小企業にも有効だ。
“SIM×NoCode”の可能性。通信からアプリケーションまでをワンストップで提供。
ミークが手がけるMEEQプラットフォームは、NTTドコモ・ソフトバンク・KDDIの3キャリア回線に対応したSIM通信基盤をベースとし、IoTに必要な通信・データ蓄積・通知機能をすべてNoCodeで提供している。ユーザーは煩雑なプログラミングを行うことなく、通信回線の購入からデバイス登録、データモニタリング設定までを直感的に操作できる。
今後、「MEEQ APPS」は温度・湿度の検知やセンサーシステムの故障検知をはじめ、さらなる機能拡張を予定しており、多様な業種・業態のニーズに対応した監視・通知アプリケーションが追加されていく見込みだ。現場の“見える化”をSIMカードで実現するこの取り組みは、IoTの新たな流れを生み出すだろう。