大正13年創業の老舗石鹸メーカー木村石鹸工業株式会社(大阪府八尾市、社長:木村祥一郎)が、2025年大阪・関西万博の「大阪ヘルスケアパビリオン」に出展し、「使い切るせっけん」をコンセプトにした新たな製品モックアップを展示する。大阪府八尾市の企業13社による共同プロジェクト「リボーンチャレンジ」の一環として、“使い捨て”ではない暮らしの選択肢を世界に発信する。

容器も中身も「使い切る」。サステナブルな暮らしへの新たな選択肢。

プラスチックごみ問題が深刻化する現代において、日用品メーカーには環境負荷の低減が求められている。木村石鹸はこれまでも、プラスチックパウチの水平リサイクル実証実験やB Corp認証の取得など、サステナビリティへの取り組みを続けてきた。しかし、液体製品を扱う上で耐久性のあるプラスチック容器は不可欠な場面も多く、「中身は消費されても容器が廃棄物として残る」という構造的ジレンマが長年の課題となっていた。

そこで同社は、「使い捨てる」から「使い切る」という発想の転換を掲げ、2つの画期的な製品コンセプトを提案。一つは、石鹸そのもので容器を作る「Sopeware」で、使用中は容器として機能し、役目を終えた後はそのまま石鹸として最後まで使い切る設計とすることで、包装廃棄物を出さない仕組みだ。もう一つは、角砂糖のようなキューブ形状の「4th Soap」。液体、固形、粉末に次ぐ「第4のせっけん」として、1個を1回分で使い切れるため、過不足や詰め替えの手間を解消し、また個包装やボトルも不要になるため、保管や持ち運びの利便性に優れている。

Sopeware
4th Soap

今回のモックアップ展示は、素材・形状・使い方の再設計によって、容器も中身も余さず“使い切る”という新しい価値を可視化する試みだ。プロジェクトを共に進める「リボーンチャレンジ」は、八尾市のものづくり企業13社が分野横断で知見を持ち寄り、地域発のイノベーションを社会実装につなげる共同プラットフォーム。万博という国際的な発信の場で、生活者・企業・自治体に向けてプロトタイプを提示し、実装に向けた議論を加速する。
石鹸で出来た容器の「Sopeware」は、使用時の強度・防水性・滑りにくさといったユーザビリティと、使用後に石鹸として心地よく使える溶解性・泡立ちの両立が鍵になる。また1個=1回分で使い切りタイプの「4th Soap」では、水質や用途に応じた処方の最適化、フィルムレスまたは容易に分別可能な包装の検討など、サプライチェーン全体の設計が重要となる。いずれも、製造・物流・小売・回収の各段階で環境負荷を最小化しながら、使い心地や価格のバランスを確保することが、量産・普及の前提条件だ。
木村石鹸は、これらのコンセプトを足がかりに、日用品における“容器と中身の分離”という前提を見直し、ライフサイクル全体での資源循環を志向する。今後、生活者のフィードバックや他業種との協働を通じて実装度を高め、家庭内のプラスチック廃棄量削減や、詰め替え・補充の煩雑さの解消といった実利にもつなげていく見込みだ。「使い切る」という価値観が新たなスタンダードとして広がれば、日用品分野のサーキュラーエコノミーは一段と前進し、持続可能で心地よい暮らしの実現に寄与するだろう。

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