デジタル、AIなどの飛躍的な進化によって、世界は1次産業から多次元産業へと目まぐるしく変化と発展を続けている。そのシーンでの活躍を願い、社会貢献と一攫千金の両方を夢見る若者たちが、そんな新しい社会の原動力だ。欧米に比べ、出足の遅かった日本だが、ようやくというかやっと新しいプレイヤーたちを支援するさまざまな活動の場が増えてきた。

TIB Global Day 2025 winter

大もあれば小もあるが、たとえば世界100以上の国と地域で予選が行われ、優勝投資賞金約1億5,000万円を誇る世界最大級のビジネス・ピッチコンテスト「スタートアップワールドカップ 2025」が、今年も日本で熱い戦いを繰り広げる。あるいはディープテックとテクノロジーの世界的スタートアップ・コンテスト「Extreme Tech Challenge(XTC)JAPAN 2025」も2025年2月28日に開催される。
そんなスタートアップたちの日頃のワークスペースとなるシェアオフィスも「CIC(Cambridge Innovation Center) Tokyo」や「WeWork」などが人気で、JR有楽町駅そばにあったMUJIの跡地にできたのが、「『未来の東京』戦略」を推進する東京都が開設した「TIB(Tokyo Innovatuion Base)」だ。
この施設は、東京都がイノベーション創出と新たな産業構造転換を目的に、スタートアップと金融の力でサステナブルな都市を実現するため用意した器だ。この空間とそこに集う人間たちのチカラとネットワークで、官民協働のチームでスタートアップの成長を強力に後押しするとともに、国内外からの投資の呼び込みなど国際金融都市・東京の実現に向けた取組を推進し、イノベーションを通じてグローバルな成長や社会課題解決を生み出そうとしている。
そんな「TIB」で1月30日に、グローバル展開を目指すスタートアップやエコシステムプレイヤーが集う「TIB Global Day 2025 winter」が開催された。ここでは5月に開催する「SusHi Tech Tokyo 2025」も視野に、TIBのグローバルな取組を世界に発信するため、「TIB PITCH Global」も行われ5組の参加者によるピッチングコンテストなども行われ、優勝を競った。優勝者には「SusHi Tech Tokyo 2025」でのブース出展の権利が与えられた。
その他、小池百合子都知事から、SusHi Tech Tokyoのさらなるバージョンアップや、今後目指す未来の都市像についてオープンな議論を展開するために、未来の都市像を議論する多様なスピーカーを招聘していることや、スペシャル・コンテンツ「Focus on」、未来体験パビリオン、学生メンバーITAMAEなどの準備が進められていることが伝えられ、参加者の関心を集めた。

Polar Bear pitching Tokyo

いっぽう1月24日に麻布十番のBIRTH LABで行われたのが、フィンランド・オウル市で2025年2月27日(木)に開催されるスタートアップイベント「Polar Bear Pitching 」の公式サテライトイベント「Polar Bear pitching TOKYO」。ピッチングはすべて英語で行われ、優勝スタートアップは日本チャンピオンとして、オウル発のアヴァントピッチング大会本選(決勝大会)に進出し、世界各国のスタートアップと世界一を狙って競うことになる。
Polar Bear Pitchingは、フィンランド・オウル市で2014年に始まったスタートアップイベントで、メインプログラムであるピッチング大会は、参加者が凍った川に穴を開けた氷穴(アヴァント)に浸かりながらビジネスアイディアをプレゼンテーションする、氷穴ピッチング大会(Pitch in Avanto)が話題。極限の状況下で、自分のビジネスに対する情熱をどこまで伝えられるかが試される場となっており、世界中のスタートアップ関係者から注目を集めている。またピッチング大会だけでなく、マッチング、カンファレンス、懇親会、サイドイベントなども行われる。

【Pitching in Avanto】
2/27(木)フィンランド時間17-20時(日本時間24時~27時)配信
生配信リンクはPBP公式サイト「https://polarbearpitching.com/」にてご確認ください。

日本でのサテライトイベントは、2019年と2020年に仙台(Polar Bear Pitching Sendai)、2024年1月に札幌(Polar Bear Pitching Hokkaido)で開催され、東京大会は今回が初。5組のスタートアップ起業者が参加し、氷が入れられたアイスバケツに足を漬け、寒さと格闘しながらのピッチングコンテストになった。

そして、今回の優勝者はジャズピアノのオンライン学習サービスに取り組む株式会社Freedom Freaksの高田大輝さんが選ばれ、フィンランド・オウル市での本選行きチケットを見事手に入れた。

イベントの規模は違えど、どちらのイベントも参加者の元気さと、世界に飛び出して新しいビジネスに挑戦したいという情熱は同じ。Polar Bear pitching Tokyoの主催者に名乗りを上げた株式会社高木ビルの代表・高木秀邦さんのコメントが印象的だった。「起業を楽しむマインド、ビジネスを楽しむグルーブ、ノリと熱量がスタートアップには一番大切です!」