大阪府八尾市のものづくり企業、錦城護謨株式会社は、和紙とシリコーンゴムを一体化させた革新素材「和紙リコーン」を開発し、2025年大阪・関西万博「大阪ヘルスケアパビリオン」リボーンチャレンジゾーンに出展する。創業89年の歴史と技術力を背景に、ゴムの可能性を再定義する挑戦だ。

八尾市の出展テーマである「とにかく触る博」のイベントビジュアルと大阪ヘルスケアパビリオン外観、錦城護謨のゴム製品製造過程の一部

伝統素材と先端技術の融合が生み出す「和紙リコーン」。

和紙とシリコーンゴム。一見、異なる世界にある素材を融合させた新素材「和紙リコーン」は、八尾市の技術力の象徴ともいえる存在だ。和紙特有の温かみある質感を保ちながら、シリコーンゴムの耐久性、柔軟性、防水性を併せ持つ。インテリアからファッション、医療製品まで、幅広い応用が期待されている。
開発したのは、創業89年を誇る錦城護謨株式会社。同社は家電製品や医療機器などに用いられるゴム部品製造で国内トップクラスのシェアを誇る。今回の技術は、単なる素材開発ではなく、「ゴムの未来価値」を拡張する試みだといえる。
「和紙リコーン」の展示は、来場者が実際に手で触れ、質感と機能性を体感できる体験型のものとなる予定。伝統と革新の融合が、未来の暮らしをどのように変えるのか。その可能性を目の当たりにできる場となる。

大阪・関西万博で挑む「ゴムの可能性」拡張戦略。

錦城護謨は、2025年9月16日から22日にかけて開催される大阪・関西万博の「大阪ヘルスケアパビリオン」内のリボーンチャレンジゾーンに出展する。ここは、大阪発の中小企業やスタートアップの象徴的な技術を世界に向けて発信する舞台だ。
同社が掲げるテーマは「ゴムの可能性を広げる」。高透明シリコーンゴムを活用した「シリコーンダイヤ」など、既存の概念を超えたゴム製品を数多く展示する。耐久性・柔軟性・デザイン性を兼ね備えた製品群は、医療、スポーツ、ライフスタイル、ファッションなど、多岐にわたる分野での展開を見据えている。
また、八尾市は「OPEN FACTORY CITY YAO」を旗印に、市内企業13社とともに、体験を重視した展示を行う。来場者は技術や製品を直接触れながら、八尾が培ってきたものづくりの力を肌で感じ取ることができるだろう。

2025年3月に開催された八尾市の展示企画発表会の様子(八尾市特設サイトより引用)
2025年3月に開催された八尾市展示企画発表会で披露されたブースイメージミニチュア(八尾市特設サイトより引用)

「まちこうば」から世界へ、八尾発ものづくりの挑戦。

約3,000社の中小企業が集積する八尾市は、日本有数の「ものづくりのまち」として知られている。今回の万博出展は、地域全体で技術と創造力を世界に発信する絶好の機会となる。
錦城護謨はこれまで、家電、スポーツ用品、自動車部品など多様な分野にゴム製品を提供してきた。さらに、夢洲の地盤改良工事や視覚障害者用歩行誘導マット「歩導くんガイドウェイ」、自社ブランド「KINJO JAPAN」のグラス製品など、時代に応じた新しい事業領域を次々と切り拓いている。
今回の展示は、八尾の企業が積み重ねてきたものづくりのDNAと、未来への挑戦を世界に示す場になるだろう。

和紙とシリコーンゴムを一体化させた「和紙リコーン」イメージ写真や製造風景、シリコーンゴムを用いたオリジナルブランドKINJO JAPANのグラスなど

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