水辺を守り、地域の脱炭素社会の実現を目指す動きが全国で活発化している。環境省はこのほど、水辺の自然と共生する暮らしを支える「水辺の環境活動プラットフォーム」を新たに立ち上げ、キックオフイベントとして「水辺の環境活動フォーラム」を開催する。これと並行して、地域の課題解決を専門家が支援する「脱炭素まちづくりアドバイザー制度」の二次公募も6月上旬から開始される。

多様な主体がつながる「場」づくり。市民と専門家が一体で水辺再生に挑む。

気候変動がもたらす影響が深刻さを増す中、水辺環境の保全・活用を軸にした地域づくりが全国各地で注目されている。こうした背景のもと、環境省は「水辺の環境活動フォーラム」の開催とともに、ウェブ上で新たな情報プラットフォームを開設。市民、自治体、企業、NPOなど多様な主体が連携し、水辺を起点としたまちづくりや環境保全の取り組みを共有・発信する。
このフォーラムでは、先行的な取り組み事例の紹介や、現場で活動する実践者によるパネルディスカッションが予定されている。単なる情報提供にとどまらず、参加者同士が課題やノウハウを共有し、持続可能な社会に向けた連携の足がかりとする構えだ。
また、今回の取り組みは、環境分野における行政主導から住民主体への転換を象徴する動きでもある。環境省は「地域ごとの知見とつながりを活かし、水辺を中心とした共生社会の実現を目指す」としており、単なる啓発ではなく、行動変容を促す実践の場としての位置づけを明確にしている。

「水辺の環境活動フォーラム」の開催について
【日時】令和7年6月9日(月)13:30~17:30(予定)
【開催形式】ハイブリッド開催(会場/Zoom ウェビナー)
【場所】御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンター sola city Hall
【定員】会場 約250名、オンライン500名
【詳細・お申込み】https://www.env.go.jp/press/press_04877.html
申込締切:令和7年6月6日(金)

「脱炭素まちづくりアドバイザー制度」二次公募を開始。専門家を地域に派遣。

こうした水辺を起点とした地域の再生と並行して、環境省は「脱炭素まちづくりアドバイザー制度」の二次公募を6月上旬から開始する。地方公共団体における脱炭素の取り組みを後押しするため、専門的知見を有するアドバイザーを無償で派遣する制度で、好評だった初回公募に続くものとなる。
同制度では、地域ごとの課題に応じた支援が行われる。計画策定支援、関係者との調整、事業化に向けたアドバイスなど、地域が直面する多様なニーズに対応できるのが特徴。すでに先行地域では、再エネ導入のロードマップ策定や、脱炭素施策に関する住民合意形成の支援などが実施されており、地域の環境政策を具体的に動かす原動力として期待が高まっている。

「脱炭素まちづくりアドバイザー制度」二次公募について
■公募期間 
6月上旬~ 同年6月下旬(予定) 
■公募対象 
アドバイザーからのサポートを受けることを希望する地方公共団体(都道府県、市町村、特別区、一部事務組合又は広域連合)。複数の地方公共団体での共同申請も可能。 
■派遣形式 
①スポット型:現地訪問(1泊2日程度、1回)による指導助言を行う。また、訪問前後にオンラインミーティング(2時間程度、2回)を行う。
(訪問時にどのような課題を解決したいのかを明確化する、訪問後のフォローアップなど)。 
②伴走型:派遣期間中、定期的なミーティング・連絡により指導助言を行う。この際、2回程度の現地訪問(1泊2日程度)、4回程度のオンラインミーティング(2時間程度)を基本とする。 
■今後のスケジュール(予定) 
・第二次公募:公募開始6月上旬、派遣開始7月下旬    
・第三次公募:公募開始8月、派遣開始10月 

水辺の再生と脱炭素社会の実現──自然との共生と経済・社会の持続性を両立する挑戦は、今まさに全国各地で本格化している。自治体や市民の手により、その動きは一層加速していくことになりそうだ。

水辺の環境活動プラットフォームホームページはこちら