オーストラリアの国際NGOワールド・ビジョンで気候変動対策主任アドバイザーを務めるトニー・リナウド氏が、10月に来日することが決定した。リナウド氏は、住民主体の自然再生アプローチを提唱し、世界中で森林再生に貢献してきた人物として知られている。今回の来日では、彼のライフワークに焦点を当てた映画上映とシンポジウムが東京都中野区で開催される予定だ。

「森をつくる人」トニー・リナウドとは

トニー・リナウド氏は、1980年代にアフリカのニジェールで植林活動を行う中で、「地下に広がる森」の存在に気づいた。その発見に基づいて、住民の主体性を重視し、自然の再生力を活かした「住民主体の自然再生アプローチ」を確立。これにより、1本の木も植えることなく、600万ヘクタールの土地に森林を再生させた功績を持つ。彼のアプローチは低コストで持続可能な森林再生を可能にし、現在では26カ国で採用されている。
リナウド氏のアプローチは、世界的にも高く評価され、国連のフラグシップ・イニシアチブに選ばれた。
10月10日には、リナウド氏の功績に焦点を当てたドキュメンタリー映画『The Forest Maker(森をつくる人)』が上映される。この映画では、アフリカでの彼の取り組みがどのように世界中に広がっていったかが描かれている。上映後には、トニー・リナウド氏本人と、映画コメンテーターでありチャイルドスポンサーでもあるLiLiCo氏によるトークセッションが予定されている。
このイベントは、中野坂上ハーモニーホールで開催され、事前申し込みが必要だが、参加費は無料。リナウド氏の人生を通じて、住民主体の自然再生がどのように社会を変革してきたかを知る貴重な機会となるだろう。
翌10月11日には、気候変動が開発途上国に与える影響とその対策をテーマにしたシンポジウムが開催される。トニー・リナウド氏による基調講演に加え、JICAや企業の代表者が、各々の取り組みを紹介する。また、パネルディスカッションでは、登壇者が森林再生の具体的な方法や国際協力のあり方について意見を交わす予定だ。
リナウド氏の活動は、地球温暖化が進む中で、いかにして持続可能な未来を築くかを考える上で、非常に重要なモデルとなる。彼の来日イベントは、私たちが未来に向けて何ができるのかを考える契機となるだろう。


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