阿寒湖を舞台に、アイヌの伝統工芸と現代アートが融合する「阿寒アイヌアートウィーク」が11月23日から12月15日まで開催される。木彫や刺繍、古式舞踊などのアイヌ文化と、多彩なアーティストによる新作アートが展示され、アイヌの豊かな精神性と自然との共生が表現される。自然と調和しながら進化するアイヌ文化の魅力を、阿寒湖の大自然の中で堪能できる貴重なイベントだ。
アイヌ文化とアートの共創を楽しむ「創造のラタㇱケㇷ゚」
阿寒湖アイヌコタンは、アイヌの伝統と生活文化が息づく場所。「すべてのものに魂が宿る」という信仰に基づき、地域の住民たちが代々受け継いできた文化が集落全体に浸透している。今回の「阿寒アイヌアートウィーク」では、この独自の文化と現代アートが交わることで、伝統と革新が共存する場が生まれる。
イベントでは、アイヌアーティストによる木彫や刺繍、ガラス彫刻などの作品が展示されるほか、アイヌ文化に触発され創作を行った現代アーティストたちの新作も発表され、アイヌ文化の深い精神性と現代アートの視点が交差し、異なる背景を持つ作り手たちの表現が「創造のラタㇱケㇷ゚」（混じり合う）というテーマのもと、一つの空間に集結する。
「阿寒アイヌアートウィーク」の期間中は、アイヌの伝統を現代に伝える舞台公演や体験ツアーも開催される。阿寒湖アイヌシアター「イコㇿ」では、アイヌの古式舞踊や伝統楽器の演奏が披露され、参加者はアイヌの精神文化に浸ることができる。また、阿寒湖の自然散策やアイヌ料理の試食体験など、地域の文化と自然を多角的に楽しめるツアーも用意されている。
さらに、今回のメインビジュアルには、阿寒湖で採取された自然素材をもとにアイヌアーティストが制作した拓本が採用され、異なる文化と歴史の交差を表現している。アイヌ文化と自然、そして多様なアーティストたちの表現が融合する「阿寒アイヌアートウィーク」は、訪れる人々に新たな視点を提供するものだ。
【阿寒アイヌアートウィーク 開催概要】
会期：2024年11月23日(土) 〜12月15日(日)
会場：北海道釧路市阿寒町阿寒湖温泉 阿寒湖アイヌコタン周辺
入場：無料
主催：釧路市
企画・運営：株式会社ロフトワーク
協力：ガスアズインターフェイス株式会社
参加アーティスト：
阿寒湖アイヌコタン出展アーティスト（50音順）
秋辺 日出男／井上 綾子／岡田 実／郷右近 富貴子／斉藤 政輝／下倉 洋之／平良 秀晴／瀧口 健吾／床 州生／西田 香代子／平間 覚／辺泥 敏弘（Pete）／簗瀬 秀夫／渡辺 澄夫
文化交流プログラム参加アーティスト（50音順）：
磯崎 道佳／加々見 太地／MSHR／山口みいな＋木下真紀
【関連プログラム】
阿寒湖アイヌの歴史と物語に触れるステージプログラム
『満月のリㇺセ』
アイヌの人々がアイデンティティとして持つ多様性を受け入れる受容性や大切な思想でもあるウレシパモシㇼ、つまりお互いに育て合う大地等をテーマに取り入れ、制作チームと阿寒湖アイヌシアター＜イコㇿ＞の踊り手が話し合いを重ねながら沢山の想いを込めつくられた作品。
『阿寒ユーカラロストカムイ』
デジタルアート、サウンドデザイン、ダンスなど各分野で注目を集めるクリエイターが阿寒湖に集結し、古式舞踊、現代舞踊、3DCG、7.1chサラウンドを組み合わせ、５台のプロジェクターで舞台を立体化し誕生した演目。
『古式舞踊』
先祖や神々に対して敬意や感謝を示すために行われた儀式の場で、親戚・友人が集った時、仕事をしている最中など、さまざまな場面で繰りひろげられる「アイヌ古式舞踊」。上演では、アイヌとカムイを繋ぐ役割を担う祭具「イナウ」を中心に演舞を展開する。「イナウ」とは、それそのものがカムイであり、カムイがこの地に現れる時に捧げる供物であり、カムイの世界に送る土産といわれているものだ。アイヌ民族とカムイ（神）の架け橋として捧げられる「イナウ」と共に繰り広げられる歌と踊りを楽しめる。
【ツアープログラム】
「Anytime, Ainutime!」
「森」、「湖」、「ものづくり」の3つの要素で構成されたアイヌ文化を、阿寒湖アイヌコタンで暮らしている住民たち自らが伝えていくことをテーマとした体験型ツアー。阿寒湖畔散策や伝統楽器の演奏、アイヌ料理の試食などが体験できる。
【阿寒湖アイヌコタンについて】
阿寒湖アイヌコタンは、約120人が暮らす北海道内有数のコタン(集落)。アイヌの信仰「全てのものに魂が宿る」の意識のもと、触れ合う・つくる・食べる・受け継ぐ・解き放つ・自然と生きる、といった体験ができる場所としてアイヌの文化を発信している。北海道の雄大な自然と共存し、豊かで神秘的な精神世界を築いたアイヌの文化や歴史を体感できる場所だ。
https://www.akanainu.jp/