株式会社船場は、ヤマハ発動機と協働し、同社初の「YAMAHA MOTOR Regenerative Lab(リジェラボ)」を誕生させた。この共創スペースでは、廃棄物をアップサイクルした什器やアートワークを用いて、「リジェネラティブ(再生)」のテーマを体現する試みが行われている。2024年10月25日に横浜で開設され、未来志向のデザインが注目を集めている。
FRP廃材を活用した什器が示す素材再生加工や、企業間共創が持つ可能性
環境問題への対応が求められる中、「リジェネラティブ(再生)」は、自然環境を保全する「サステナブル」を超え、より良い状態へと再生する新たな概念として注目されている。ヤマハ発動機が設けた「YAMAHA MOTOR Regenerative Lab」では、このテーマのもと、廃材を活用した新たな空間デザインが実現された。
中心となる什器は、ヤマハ発動機が製造した競技用プールの廃材から制作された。従来のリサイクルが困難とされてきたFRP(繊維強化プラスチック)を加工し、展示用什器として再構築。裏面の構造を生かしたデザインや、壁面をベンチとして活用する設計が採用され、廃材の可能性を示す象徴的な存在となった。さらに、その他の家具や展示品も、FRP廃材やボート部品、廃棄予定の学校机など、多様な素材がアップサイクルされている。
また、初回展示では、ヤマハ発動機の製造過程で生じた端材を活用したアートワークが設置された。これにより、廃材への新たな視点を来訪者に提供し、環境課題への関心を喚起する役割を担う。
「リジェラボ」は、展示やワークショップを通じて、企業間の共創や新規事業創出を目指すスペース。持続可能な社会に向けた新たな取り組みとして、資源循環型社会の実現に向けた新たな可能性を提示している。今後も廃材活用の新技術や、他業界への応用が期待されている。