地方創生や環境保全に貢献する「自伐型林業」が注目を集めている。2025年2月5日、東京・新橋で開催される10周年記念イベント「森の未来を紡ぐ旅」は、この取り組みの成果と展望を共有する場となる。森林の持続可能な活用と地域の活性化を目指す新しい林業モデルの可能性とは何か。
持続可能な森林経営が地域を救う
自伐型林業(じばつがたりんぎょう)は、山林所有者や地域住民が自ら森林を管理し、小規模で採算性の高い林業を実現する新しい取り組みだ。従来の林業が機械化による高額投資を必要とするのに対し、自伐型林業はチェーンソーや小型作業車を使用し、低コストでの参入が可能。地域の森林資源を持続的に活用しながら、経済的な自立を目指す。
また、適切な森林管理は土砂災害の防止や生物多様性の保全にも寄与する。高知県では、自伐型林業を実践する住民が増えたことで獣害被害が減少し、農業生産基盤の安定化が図られた事例もある。
地方創生の切り札として期待
自伐型林業が注目を集めたきっかけは、2014年に当時の石破茂地方創生担当大臣が「地方創生の鍵」として取り上げたことに遡る。以来、各地で取り組みが広がり、環境保全と経済再生を両立するモデルケースとして注目されている。2024年に導入された森林環境税も追い風となり、森林保全が社会全体の課題として意識されるようになった。
また、林業に従事する人々が地域内で長期的に収入を得ることができる仕組みは、人口減少や高齢化に悩む地方自治体にとって重要な移住・定住施策となる可能性を秘めている。実際、移住者を呼び込み地域コミュニティを活性化させた成功事例もある。
10周年イベントで描かれる未来
2025年2月5日に開催される「森の未来を紡ぐ旅」では、自伐型林業の10年間の成果と課題が議論される。さらに、全国各地の林業者や専門家が未来の林業像について展望を語る予定だ。トークセッションや製品展示を通じて、自伐型林業の可能性が広く共有される場となるだろう。
持続可能な社会の構築に向けて、自伐型林業は日本の地方再生の新たな道を切り開いている。
【イベント概要】
タイトル:森の未来を紡ぐ旅 〜10年の歩みとこれからの挑戦〜
日時:2025年2月5日(水)13:15〜16:15(12:30開場)
場所:イイノホ―ル&カンファレンスセンター4階Room A(東京都千代田区内幸町2-1-1 飯野ビルディング4階)
主催:特定非営利活動法人 自伐型林業推進協会
後援:林野庁
参加費:無料
【プログラム】
■開会・来賓あいさつ
自伐型林業普及推進議員連盟(代表:中谷元衆院議員)より
(予定)事務局長:田野瀬太道衆院議員
■トークセッション
「自伐型林業の10年を振り返る」
中嶋健造氏がこれまでの成果と課題を語る。
「レジェンド講師たちによるトークセッション」
自伐型林業を実践するレジェンド講師たちが、取り組みの背景や未来への夢を共有。
■全国リレートーク
全国各地の取り組みをつなぐリレートーク。団体・個人が登壇し、それぞれの視点から未来を語る。
■展示:ZIBATSU博覧会
自伐型林業者たちの製品やプロジェクトを展示し、直接触れられる場を設ける。
■出版:「自伐型林業─小さな林業の今とこれから─」の発売
自伐型林業がこれ一冊でわかる。10年の軌跡をまとめた本を販売。