気候変動による自然災害の頻発や少子高齢化が進行する現代社会において、地域がいかにして持続可能な発展を遂げるかが重要な課題となっている。その鍵を握るのが「地域のレジリエンス」だ。地域のリスク予見能力と危機への備えが、災害時の被害軽減と速やかな回復を支える。
地域レジリエンスとは何か
地域のレジリエンスとは、地域社会が自然災害や経済危機などの多様なリスクに対して備え、持続的な発展を維持する能力を指す。日本語では「地域回復力」とも表現され、被害を最小限に抑え、迅速に回復する力が求められる。具体的な要素として、頑健性(耐える力)、冗長性(代替手段の確保)、適応性(状況に応じた変化)、柔軟性、迅速性、臨機応変性が挙げられる。
レジリエンス向上のためには、BCP(事業継続計画)の策定、ハザードマップの確認、防災訓練の実施、防災用品の備蓄、安否確認の効率化などが重要だ。これらの取り組みは、防災分野だけでなく、環境対策やビジネス、個人の生活にも応用されている。
環境省が推進する「地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共施設への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業」では、エネルギーの自立性を高め、災害時の電力供給の安定化を図っている。これにより、地域全体が災害に強く、持続可能な形で機能し続けることが可能となる。
また、廃校を地域コミュニティの拠点として再活用する取り組みも、高齢化が進む地域のレジリエンス強化に寄与している。日本各地で進められているこのプロジェクトでは、旧校舎を防災拠点や交流スペースとして活用することで、地域住民の結束力を高め、災害時の迅速な対応が可能となっている。
地域レジリエンスの強化は、一朝一夕に実現するものではなく、日常的な備えと地域住民同士の連携が不可欠だ。自治体だけでなく、企業や個人がそれぞれの立場で役割を果たすことが求められる。
定期的な防災訓練の実施や地域イベントを通じた住民同士の交流促進、防災リーダーの育成や災害発生時の迅速な情報共有と支援体制の確立などが被害の最小化に直結する。
地域のレジリエンス向上は、災害時だけでなく、平常時の生活の質向上にも貢献する。未来に向けて、地域全体で支え合う体制づくりが重要だ。
2/14(金)シンポジウム「レジリエントな地域の未来を支えるパートナーシップ」開催
地域のレジリエンス向上に向けた具体的な取り組みを考える機会として、環境省主催のシンポジウム「レジリエントな地域の未来を支えるパートナーシップ」が2025年2月14日(金)にオンラインで開催される。
本シンポジウムでは、防災・減災やレジリエンス強化の実践例を紹介し、「より良い復興(Build Back Better)」の実現に向けたパートナーシップのあり方を探る。基調講演には東北大学災害科学国際研究所の井内加奈子准教授が登壇し、珠洲市・久留米市・気仙沼市の事例紹介なども予定されている。定員は500名(事前申込先着順)で参加費は無料。地域のレジリエンスを考える貴重な機会として、多くの参加が期待される。
<開催概要>
【日時】2025年2月14日(金)14:00~17:00
【主催】環境省
【形式】オンライン開催
【定員】500名 ※事前申込先着順
【参加費】無料
【プログラム】
○第1部:基調講演、事例紹介
[基調講演]「Functional Recoveryから考えるレジリエンス:「寄り添う」復興の力」
井内 加奈子(東北大学災害科学国際研究所 准教授)
[事例紹介1珠洲市]橋本 禅(東京大学大学院農学生命科学研究科 教授)
[事例紹介2久留米市]吉弘 辰一(田主丸未来創造会議 副会長)
[事例紹介3気仙沼市]小野寺 憲一(気仙沼市震災復興・企画部 部長)
○第2部:パネルディスカッション
モデレーター:星野 智子(一般社団法人環境パートナーシップ会議(EPC) 代表理事)
パネリスト:基調講演者、事例紹介登壇者、環境省
登壇者プロフィール
https://e-partnership.jp/250214file/profile.pdf
【申込】
下記シンポジウムウェブサイトの申込フォームより申込。
※申込期限2025年2月13日(木)17:00まで
https://e-partnership.jp/